ニコッとタウンは、「日本人ならではの気持ちも組み込んである」という。登録ユーザーに最初に配られるのは、土地や島、部屋などではなく、庭付きの一戸建て。ほかのユーザーの家には、インターフォンを押してから入る。
インターフォンの音がしてから中に人が入ってくるまでには、1〜2秒のタイムラグを設けており、会いたくない場合にはタイムラグの間に家から出てしまえば会わずに済む――といった仕掛けも用意している。
試験公開中は、韓国発のアバターサービスのように、部屋のみを配り、部屋から部屋に自由に行き来できるようにしていた。「韓国では、隣のおばちゃんが扉を開けて部屋に入ってくることもあるので、相手の部屋から部屋へ直接移動することも違和感がない」という。
だがあるユーザーから「わたしの部屋に知らない人がいるんです!」と苦情があり、日本になじまないと気付いたそうだ。
タウン内の目立つ場所に、「電話番号を教えてはいけません」「知らない人にアイテムをねだってはいけません」といった注意を促す看板が建っている。自分の“家”にいるときにも画面上に「詐欺に注意するように」といった警告文が流れることもある。
サイトをオープンした直後から、安心安全に利用してもらうための注意・啓もう活動や警告システムに力を入れた。目に付くところに、しかも複数の警告文がタウンに掲載されているため、ユーザーから最初は「看板建てすぎ! うざい!」と言われたが、今では「それがニコッとタウンだ」と認めてもらっているという。
それでも問題が起きることもある。レアアイテムをだまし取る詐欺が横行した時は、大々的に注意を促す告知を掲載。新機能の開発をストップして、詐欺を防ぐための仕組みを優先させた。
「ニコッとタウンはいつもちょっと機能が足りない」とユーザーから言われることもある。例えば、タウン内のブログには、ハイパーリンクを設置する機能や画像アップロード機能がない。「ハイパーリンクがないのは、業者が関係のないURLや違法サイトのURLを仕込む可能性があるから。いろいろなサイトでハイパーリンクを悪用した事件が起こっている」
画像アップ機能を入れないのは、著作権侵害のリスクを考えてのことだ。実際、ブログに無断で流行歌の歌詞を掲載するユーザーは多く、見付けた場合は削除した上で注意文を送っているが、まだまだ歌詞をアップする人はいるという。「画像アップ機能も、著作権を侵害した画像や、自分の顔写真を掲載するユーザーがいる可能性があるため、まだリリースできない」
ニコッとタウンには、ゲームをしたりブログを書くことでたまる無料コインと、お金を払って購入する有料ポイントの2種類の通貨がある。無料コインと有料ポイントでは、買える服の種類が違う。
無料コインで買える服も毎月追加されるため、ユーザーはお金を使わなくても楽しめる。「無料と有料を分けることで負担は2倍。売り上げも上がらない。ただ僕自身も、自分が好きなブランドやサービスは絶対買うし、ファンになれば、有料でも買ってもらえる」。実際、一度お金を払ったユーザーは、ほぼ100%、サービスを使い続けているという。
ファンになるための期間を設けるという意味で、無料アイテムを定期的に出している。無料アイテムが少ないとファンになる前にやめてしまうと考えたためだ。
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