Twitterのつぶやきをまとめられるサービス「Togetter」(トゥギャッター)の存在感が増している。昨年9月に公開し、月間ページビューは900万、月間ユニークユーザーは200万にのぼる。開発者の吉田俊明さん(29)が、Web制作会社に勤めながら個人で運営してきたが、今年6月に会社を辞め、Togetterを運営する株式会社を設立した。
「自分が開発したサービスに独立せざるを得ない状態に追い込まれた」。Togetterの規模が増し、システム開発やユーザーサポートの業務は片手間では支えきれないほどに。Togetterがもうかるかは「よく分からなかった」が、このままではマネタイズ方法を考える時間もない。起業し、腰を据えて取り組むことを決心した。
さまざまな個人のつぶやきがTogetterにまとめられ、まとめを中心に議論が起こる。「小さな声を広く一般に伝える拡声器みたいで面白い。Togetterで何かを変えたい」――吉田さんが言葉に力を込める。
Togetterは、Twitterのつぶやきをドラッグ&ドロップで自由に並べ替え、1ページにまとめられるサービス。昨年9月に公開し、ブレイクしたのは今年1月3日。pixiv上での著作権に関連するまとめができ、はてなブックマークで注目を浴びて利用者が急激に伸び始めた。
これまで累計で約7万9000件、1日に約300件のまとめができている。編集者が語る京極夏彦さんのデビューエピソードのように1人のつぶやきをまとめたものや、青少年健全育成条例成立に関するまとめのように、さまざまな人の意見を集めたものもある。
吉田さんは名刺の裏に、話題になったまとめのタイトルと概要をプリントしている。「天空の鯖ラピュタ」「【ツイッターの奇跡】亡くなった父が最後に撮影した公園を探してください」「ブラック企業から残業代を回収したところまでの一連ツイート」など、名刺にプリントしたまとめは20種類ほどある。
宮崎県で口蹄疫が発生した際には、現地の酪農家や行政側の声がいち早くまとめられ、口蹄疫問題への関心がTwitterで高まった。都心の集中豪雨の様子をレポートするつぶやきのまとめは被害状況の把握に一役買った。Togetterは「多くのつぶやきの流れを可視化し、うねりを作ることができる」と語る。
つぶやきが、発言者以外のユーザーによって偏った視点でまとめられてしまうこともある。今年7月にまとめに使われた自分のつぶやきを削除できる機能を追加。まとめの削除依頼が吉田さんのもとに届けば、中身を検証して実際に削除したり、依頼者とまとめ作成者を仲介したりしている。まとめの削除依頼が吉田さんのもとに届くのは月に1回ほど。ユーザーが納得し、安心してTogetterを利用できるよう「環境整備していく」と話す。
Togetterは吉田さんがヤフー在籍時に個人で開発した。その後、Web制作会社バスキュールに転職し、趣味の範囲で運営してきたが、サイトの規模が増すにつれ、システム開発やユーザーサポートに費やす時間も長くなり、片手間では支えきれないほどに。「ユーザーが安心して使える環境を担保する」ため、今年6月にTogetterを運営する会社トゥギャッターを設立した。
起業前、Togetterの収入源はアフィリエイト広告のみで、収入はほとんどなかったという。今後ももうかるかは「よく分からなかった」が、当時はマネタイズ方法をじっくり考える暇もないほど忙しい状態。腰を据えて収益化に取り組むためにも「とりあえず法人化してしまえばいいんじゃないか」と考えた。
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