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Microsoftがタブレット市場でAppleに勝てない理由(1/2 ページ)

» 2010年12月28日 17時24分 公開
[Don Reisinger,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftは危うい立場に置かれている。参入したあらゆる分野でたやすくリードできた日々は過ぎ去ってしまった。今では顧客のニーズと要望を十分に理解していない企業のように見える。これまで同社は、ライバルがもっといい選択肢を顧客に提供するのを目の当たりにしてきた。

 だが、同社はそれを変えたいと思っている。

 1月のConsumer Electronics Show(CES)で、MicrosoftはARM Holdingsのアーキテクチャ上で動作するタブレット向けのWindowsのバージョンを発表すると報じられている。Apple、Googleなどの企業にタブレット市場で対抗するためだ。Microsoftはこの報道を肯定も否定もしていないが、同社が今後タブレット分野に照準を定めるという憶測が流れている。

 Microsoftにはいいアイデアに見えるかもしれない。だがタブレット分野の動向を追っている関係者は、この分野にもっと多額の投資をしたいという同社の願いは、Appleに打ち勝つという究極の目標には結局達しないだろうということを分かっている。

 その理由を以下に挙げる。

1. Windowsの準備はまだ整っていない

 Windows Phone 7であれWindows 7であれ、Microsoftがタブレットに載せようとしているどんな種類のOSでも、1つはっきりしていることがある。Windowsはまだタブレット分野に出せるものではないということだ。Microsoftはデスクトップで成功するために必要なことを完全に理解しているが、2010年に、Windows Mobileをあまりに長く提供してきたこと、HPのSlate 500のOSの使い勝手が標準以下だったことから分かったように、Microsoftはモバイル市場を理解していない。CESではそれは変わらないだろう。

2. iPad人気

 Microsoftはタブレット市場でAppleに打ち勝つために、やりたいことを何でも試せるが、まずはiPadに勝つ方法を見つける必要がある。JooJoo、Samsung、Dellなどほかの企業にとって、iPadに勝つことは思っているほど容易ではない。Appleのタブレットは手頃な価格でたくさんの価値を提供している。さらに、提供しているのはAppleだ。それはiPadの需要と話題性を高めるばかりだ。MicrosoftがiOSより魅力的なソフトを実現する方法を見出すまでは、iPadの一人勝ちが続くだろう。

3. Appleの方が消費者を理解している

 Appleの方がMicrosoftよりもはるかに消費者のニーズを理解していると言っても過言ではないだろう。歴史を少し見ただけでも、それは簡単に分かる。AppleはiPodを考案しただけではなく、iPhoneで消費者に最高のタッチスクリーン体験を提供し、その後消費者にベストなタブレットを届けている。その間、Microsoftは「追い上げ」を図ってきた。消費者を十分に理解している会社のようには思えない。

4. 成功できなかった1年

 タブレットに関して言えば、Microsoftには厳しい1年だった。1月のCESで、同社のスティーブ・バルマーCEOはさまざまなWindowsタブレットを披露した。その中には、HPのSlateなど、Microsoftの成功に貢献するとバルマー氏が称したものもあった。それからおよそ1年、Windowsは成功できなかった。バルマー氏は次回のCESで再びチャレンジしようとしているが、Microsoftが本当にモバイル市場を「獲得」するかどうかには疑問が残る。

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