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東京電力、計画停電打ち切り 政府、夏も「原則実施しない」方針

» 2011年04月08日 13時37分 公開
[ITmedia]

 東京電力は4月8日、計画停電を今後は「原則として実施しない」方針にすると発表した。火力発電の復旧や4〜5月の気温上昇に伴い電力需給に余裕が出るため。今夏は大幅な電力不足が見込まれるが、政府が決定した対策方針を踏まえ、計画停電は「原則実施しない」方針だ。

 節電効果もあり、現在の最大電力は前年比で約2割下回って推移。5月後半に向けて緩やかに需要が増加するが、5月下旬の想定3800万キロワットに対し、供給力は3900万〜4200万キロワットを確保できる見通し。

 需給バランスが維持できる見通しになったため、計画停電を前提とした需給調整方針をやめ、今後は「原則として実施しない」ことにする。今後も節電への協力を呼びかけるが、突発的な需要の増大でやむを得ず計画停電を実施することもありうるとしている。

 計画停電は3月14日から始まったが、28日を最後に実施していない。実施された地域を対象に、電気料金の割引も発表した。1日1時間以上の停電が発生した場合、1日ごとに基本料金の4%を割引する。

政府「計画停電からの脱却」

 記録的な猛暑だった昨年は、7月23日に最高5999万キロワットを記録。今夏は節電効果などが見込めるものの、東電エリアでは現在の想定最大5500万キロワットに対し、供給力は4650万キロワットにとどまり、大幅に不足する見通し。

 東北電力エリアも、震災直後に900万キロワットに低下した供給力が夏までに1150万キロワット程度に回復する見通しだが、夏の最大需要は1300万〜1380万キロワットを見込み、同じく不足が予想されている。

 政府の電力需給緊急対策本部は8日、夏の電力対策を決定。「計画停電からの脱却」を掲げ、節電を前提に計画停電は今後は原則実施せず、「原則として常に通電されている状態」への転換を目指す。

 このため、供給力の上積みに注力する一方で、需給ギャップの縮小に向けて需要面の対策を強化。需要削減目標を設定し、節電の徹底を要請する。

 大口需要家(契約電力500キロワット以上)は25%程度、小口需要家(同500キロワット未満)は20%程度の抑制を求め、営業時間の短縮・シフトや夏期休業の分散化など、具体的な取り組み計画を策定して実行するよう要請する。このうち大口需要家に対しては、電気事業法27条に基づき使用最大電力の制限を発動する。

 一般家庭には15〜20%の抑制を求めるが、強制力はない。節電のやり方の具体的に解説したり、東京電力のWebサイトなどに表示されている電力需給データをテレビや交通機関などでも表示するよう働きかけるなど、自治体や業界団体、学校などと広く連携した国民運動として展開していく。ポータルサイトで節電アイデアを募集するなど、国民の意見も積極的に取り上げていく方針だ。

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