ITmedia NEWS > ネットの話題 >

好調のYahoo!Mobage PC向けソーシャルゲームは「ブルーオーシャン」(1/2 ページ)

» 2011年07月26日 18時13分 公開
[小林伸也,ITmedia]
photo Yahoo!モバゲートップページ

 「ヤバゲー」が好調だ。ディー・エヌ・エー(DeNA)とヤフーがPC向けソーシャルゲームサイト「Yahoo!モバゲー」をオープンしてから約9カ月、サイトの指標は右肩上がりで成長し、収益も黒字化を達成。月に1億円の収入があるアプリも出てきたという。PC向けソーシャルゲームサイトは競合がいない「ブルーオーシャン」だという両社は、「まず国内で圧倒的なトップを目指す」と、今後も有力タイトルの獲得などを進めていく。

 昨年4月にDeNAとヤフーが業務提携を発表し、9月にβ版を公開。10月に正式オープンし、人気RPG「ペルソナ」シリーズのソーシャルゲーム版「ペルソナ3ソーシャル」などのほか、「怪盗ロワイヤル」「サンシャイン牧場」など携帯電話で人気のタイトルを含む約70社・100タイトルでスタートした。

 ユーザーは順調に拡大し、今年3月初めにユーザーが300万人を突破。5月末時点で419万人を抱えるサービスに成長した。そのうち30代以上が56%を占め、10代(18%)、20代(26%)を上回る主力層。モバイル向けと比べて年齢層は高めという。

 日本最大級のポータルサイトであるYahoo!JAPANが「日本の一般的な年齢の縮図」(ヤフーの久保田紀之 ID決済サービス本部デジタルコンテンツ企画部リーダー)という面もあり、DeNAが運営に携わるサービスの中で比べると高年齢層も獲得できているという。可処分所得の高い30代を主力ユーザーとしてつかんでいることがARPU(ユーザー1人当たり収入)の上昇などにつながり、「収益面を含め全ての重要指標が毎月順調に成長している」(DeNAの赤川隼一 ソーシャルメディア事業本部PCプラットフォームグループ・グループリーダー)という好調をもたらしている。

「新しい市場を作っている」

photo (左から)ヤフーの結城さん、久保田さん、DeNAの赤川さん、KLabの佐藤さん

 「PC向けソーシャルゲームサイト」を展開するには最高の条件が整っている。DeNAは「Mobage」で実績を積み上げてきたプラットフォーム運営ノウハウや有力ゲームタイトルを持ち、ヤフーのユーザー層はコアゲーマーからライトユーザーまで幅広く含み、課金に積極的な20〜40代も多く、かつ有料のプレミアム会員と課金決済の仕組みを既に持っている。

 DeNAの赤川さんは「ソーシャルゲームがライトユーザー中心の間口の広いところでのビジネスなのでその意味では日本一の間口」といい、ヤフーの久保田さんは「ほかのプラットフォームでは実現できなかった課金率や、認証のしやすさなど、ハードルをクリアしやすい環境ができているのでは」とみており、「お互いの強みは出せている」と自負する。

 ヤバゲーの歩みは「新しい市場を作っているイメージ」(久保田さん)という。PC向けのソーシャルゲーム専門サイトというくくりで見ると競合サイトは少ない。生き馬の目を抜くかのように語られるソーシャルゲーム業界だが、PC向けサイトとしてのヤバゲーにとっては「ブルーオーシャンなのは間違いない」と久保田さんは言い切る。「この分野の成功事例はないので、自ら成功事例を作っていくのは刺激的な事業だと思っている。われわれが失敗したらほかがないというくらい」。

 DeNAを含むソーシャルゲーム各社がスマートフォン対応の強化を掲げているが、PC向けと社内競合することもないという。「ユーザーはスマートフォンと重複していると思うが、画面サイズが異なったり、PC向けはFlashベースのものが多いなど、遊び方や提供できるエンターテインメントも違うものになる」(赤川さん)ため、「カニバっている印象はない」という。

 むしろ、今後は同じユーザーがスマートフォンとPCの両方で遊べるクロスプラットフォーム的なゲームが増えてくると予想。PC向けのナンバーワンプラットフォームとして「クロスユースのフラッグシップタイトルを展開していきたい」といい、実際に動いているプロジェクトもあるという。今後本格化するHTML5もPCとスマートフォンをクロスさせる要素になりそうだ。

 PC向けでは、ソーシャルゲームも遊べる世界的プラットフォーム・Facebookの普及が日本でも進んでいるが、「課金指標などはこちらのほうが高く、競合視はしていないし、あまり議論にも出ない」(赤川さん)という。「リアルなソーシャルグラフ(Facebook)とバーチャルなソーシャルグラフ(ヤバゲー)という違いはあるが、リアルで遊びたい人はリアルで、と選べばいいのでは」(久保田さん)という姿勢で、「逆にFacebookがあることでPC向けビジネスチャンスは広がっている」(赤川さん)という見方だ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.