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Facebookプラットフォームをどう活用するか――“マジレス”投稿サイト「ANKER」の狙い(1/2 ページ)

» 2011年09月16日 08時00分 公開
[本宮学,ITmedia]
photo ANKER

 「『ライブドアが新しい掲示板を始めた』と言われるが、経緯は違う」――“マジレス”投稿サイト「ANKER」の開発に携わった、ライブドアの森内章さん(メディア事業部 新規開発グループ ディレクター兼マネージャー)はこう話す。

 同社が9月1日に正式オープンしたANKERは、テーマや質問などの「トピック」に対してユーザーが自分の意見(アンカー)を投稿していくWebサービス。投稿するにはFacebookアカウントでのログインと、Web上のテキストや画像などの「引用」を必須とすることで、価値や信頼性の高い“マジレス”投稿を集める――というコンセプトだ。

 新手のQ&Aサイトなどと評されることもあるが、サイトのコンセプトが定まったのはβ版リリースの約1カ月前。それまでは「ブロガーが自分のブログの1文を引用してアピールできるようなサービスにする予定だった」が、利用の幅を広げるため、画像や動画なども引用できるように変更した。

 「ライブドアが新しい掲示板サービスを始めたと言われることがあるが、実は最初から新しいCGMサービスを作ろうという発想はなかったので、ユーザーがどう利用するかといった答えのないまま開発してきた。ANKERはそもそも、Facebookのプラットフォームに依存したサービスを開発することが前提にあり、Facebookの機能をどう生かしてサービスを作るかが出発点だった」

新サービスを効率よく、早く、確実に

 ANKERを開発したのは、ライブドア社内でメインの事業とは別に、新しい技術を活用したサービス開発にチャレンジしているという「新規開発グループ」。現在はメイン事業に“昇格”している位置情報サービス「ロケタッチ」も、もともとは同グループで開発されていた。

 2010年10月に発足した現在のチームでは「ソーシャルプラットフォームの活用」をテーマに、今年3月にFacebookページの作成支援サービス「ソーシャレット」をリリース。その際に「Facebookのプラットフォームは奥が深く、可能性がある」と感じ、次回はFacebookと連携しつつも独立した外部のWebサイトを――という発想のもと、ANKERの構想を始めたという。

 「ライブドアはサービスを1から自社開発することもできるが、チーム発足時、これからは外部のプラットフォームを活用して“効率よく、早く、確実に”新サービスを開発していく柔軟性が必要な時代になると感じていた。また、Facebookやmixi、Twitterといった外部のソーシャルプラットフォームとの共存というテーマを企画・開発の両面から研究する必要があると考え、われわれ新規開発グループが取り組み始めた」

リアルでオープンな発言の場を

photo 森内さん

 「Facebookは実名で利用している人が多く、実社会とつながった感覚で参加しているユーザーが多い」と森内さん。そのようなFacebookの特徴をどう生かすかを考え、思い至ったのがANKERの中心コンセプトである「リアルでオープンな発言の場」だという。

 ANKERでは、ユーザーは特定のトピックに投稿すれば、そのトピックに興味のある多数のネットユーザーに向けてFacebookアカウントで何かを“言い放つ”ことができる。実名で利用されることが多いFacebookのアカウントを利用しつつ、発言をトピックごとにまとめて公開することで、リアル性とオープン性を両立させているという。「少なくともこれまで日本にはなかった発信の場」として、何かを発信したいユーザーにとってANKERが選択肢の1つになれば――とライブドアは期待する。

 森内さんのみるところ、こうした実名の発言スペースがなかなか生まれてこなかったのは「サービス提供側とユーザー双方にとって、個人情報の扱いに関するリスクが高かった」から。ANKERではFacebookのアカウントで外部サービスにログインできる機能「Facebookコネクト」を活用し、ユーザーがFacebook上にもともと公開している範囲のプロフィールをANKER上で同期することで、会員登録制サービスに伴う開発や運営上でのリスクを回避しているという。

ユーザー獲得もFacebookで

 ANKERには、ユーザーを効率的に集めるための工夫も施されている。

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