独立行政法人・情報通信研究機構(NICT)は11月4日、東日本大震災が起こした大気の波が、地震から7分後には“宇宙の入り口”である高度約300キロ付近の電離圏まで達していたという観測結果を公表した。地震後の電離圏内の大気の波について詳細に観測できたのは初めてという。
NICTのイオンゾンデ網による電離圏観測と、国土地理院のGPS受信機網を活用して京都大学・名古屋大学と共同で実施している電離圏全電子数観測(TEC)の結果をまとめた。
TEC観測によると、震央から約170キロ南東にずれた場所を中心に、地震の約7分後から波が現れ、同心円状に波紋のように広がっていった。電離圏の中心の場所は津波の最初の隆起ポイントとほぼ一致しており、海面で励起された大気の波が電離圏まで到達したとみている。
NICTは「巨大地震は、地中の波(地震波)、海洋の波(津波)だけではなく、大気の波を起こし、その大気の波が電離圏まで到達したと考えられる」としている。宇宙からの津波監視という実利用にも応用できる可能性があるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR