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顧客との対話、そして企業の開放が「ソーシャル」の勘所Lotusphere 2012 Orlando Report(1/2 ページ)

» 2012年01月18日 11時25分 公開
[ITmedia]
IBMのローディン上級副社長(上)とTD Bankのアーノット副社長

 米国時間の1月17日、フロリダ州オーランドで開催されているIBM Lotusの年次ユーザーカンファレンス、「Lotusphere 2012」は2日目を迎え、「ソーシャル」によるビジネス変革を成功に導くためのリーダーシップに焦点が当てられ、このカンファレンスが技術者だけでなく、経営層やLOBに向けた取り組みであることを印象付けた。

 ソフトウェアソリューションを統括するマイク・ローディン上級副社長がホスト役を務めた早朝の基調講演では、カナダのトロントに本社を置くToronto-Dominion Bank Groupの取り組みが紹介された。1855年設立の老舗はリテール分野に力を注ぎ、顧客数は1900万、北米第6位の規模を誇る。2350以上の支店や営業拠点で8万5000人が働く。

 ローディン氏からステージに招き上げられたのは、TD Bankでソーシャルメディアとデジタルコミュニケーションの普及促進を担当するウェンディ・アーノット副社長。IT部門とは別に発足した専門チームを率いている。

 「金融業界は規制も厳しいし、アーリーアダプターとしての苦労もある。しかし、この世界は多少の改善では成功がおぼつかない。ゲームのルールを一気に変えるため、ソーシャルソフトウェアの導入を決めた」とアーノット氏は話す。ソーシャルの活用によって社員や顧客の声をオープンに聞き、それを基にサービスの価値を高め、成果を上げることを目指した。

 「日曜営業」もソーシャルから生まれたサービスだ。多くの顧客はもちろんそれを望んでいたが、実際には休みを返上して働く社員の理解も得なければならない。

 「カナダでは初めての試みだったが、ソーシャルによる率直な対話によって300以上の支店で日曜営業に踏み切り、多くの社員が今ではこの革新的な試みに誇りを持っている」とアーノット氏。

 IBM Connectionsによって「ネットワーク化された」TD Bankの成果は、Webサイトやモバイルバンキングの改善にも生かされている。いずれのプロジェクトでも「価値向上」を重んじ、金融業界にありがちなリスクへの過度な懸念は退けてきたという。

 「リスクはむしろ好機。常に価値を高め、成果を上げることを共通のゴールにしてきた」(アーノット氏)

 今後は、パートナー企業がどれだけConnectionsのコミュニティー機能を活用してくれるのか、課題でもあり、楽しみでもあるという。

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