毎月第三金曜日深夜、渋谷の片すみでDJイベント『Japanese Soul!! ナイト』が開催される。日本の音楽“だけ”をかけるという一風変わったイベントを主催するのは、編集者でライター、そしてDJのカネコヒデシさんだ。
「DJは19歳のころからなので、約20年近くやっていますね。最初はソウルやジャズなどの洋楽が中心の選曲でした。でも、U.F.OやKYOTO JAZZ MASSIVE、テイ・トウワなど日本人のクラブミュージックや、ピチカート・ファイヴやコーネリアス、スチャダラパーなどの渋谷系と呼ばれる音楽が盛り上がり始めた時期で、彼らの音楽もスゴく好きだったんです」――カネコさんは日本の音楽“だけ”をかける理由を「日本の音楽シーンを盛りあげたいから」だという。
“踊れる”日本の音楽もあるのに、クラブでは洋楽ばかりが流れるというカルチャーに次第に疑問を感じるようになったという。しかし、DJの際に日本の音楽をかけたりもしたりしたのだが、オーディエンスの中には「なぜ?」という顔をする人も少なくなかった。
「日本にだって良い音楽はたくさんあるのに、自分たちの国の音楽が敬遠されているなんておかしい。日本人が日本の音楽を聴かなくてどーする!――ならば、ダンス・ミュージックやカフェ・ミュージックとして使える曲を、DJでたくさん流して紹介したい」と思ったそうだ。
ただし、ある程度の“オシャレ感”は必要だという。『Japanese Soul!!』で流れるのはアイドルや昭和歌謡のようないわゆるJ-POPではなく、AORやニューミュージックと呼ばれる、シティー・ポップ ミュージックが中心だ。「日本の曲オンリーという“しばり”を設定することで、お客さんはそこを楽しんでくれているみたいです。もちろん参加してくれているDJの方々もですが」(カネコさん)
カネコさんが最初に行ったことは仲間を募ることだった。
「ひとりで始めても残念ながらあまり広がっていかないんですよね。それよりもさまざまな人がかかわるプロジェクトにすれば、ムーブメントとして動き始めるかなと思いました」。そこで音楽業界やアパレルブランドなどに勤める友人に企画を話し、賛同して集まってもらったとのこと。
最初に始めたのはラジオ番組。『Japanese Soul!!』は現在、ラジオ番組、イベント、Webの3つによるメディアミックス型コンテンツとして展開しており、それぞれ6周年、3周年、2周年を迎えたところだ。
「ラジオを最初にやったのは、多くの人に広がるメディアだからです。それに、『どこどこのラジオでやってます』とか、大義名分じゃないですけれど、そういうものがあるといいのかな、と思って(笑)」(カネコさん)
ラジオ番組『Japanese Soul(ニッポンの魂)!!』はSHIBUYA-FM 78.4MHzにて生放送+再放送で月2回オンエアー中。現在はインターネットでの配信もしている。
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