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Twitterを「日本から世界へ」 CEO来日の狙い

» 2012年04月16日 17時52分 公開
[ITmedia]

 「Twitterが日本で学んだことを、世界に広げていきたい」――Twitterのディック・コストロCEOが来日して4月16日に都内で会見し、日本のTwitterの利用のされ方は最先端だと話した。

 東日本大震災では、Twitterが情報伝達の“ライフライン”として活躍。同社には各国政府から、災害にあたってTwitterをどう使えばよいか、問い合わせが来ているという。

 今回の来日は、「Twitterが災害時にどのように活用されたのか正しく理解し、情報収集する」ため。古川元久内閣府特命担当大臣と会談の予定もある。

日本の伸び率は世界平均を凌駕 「重要な市場」

 Twitterのアクティブユーザーは1億4000万人で、成長が続いているという。中でも日本の増加率は高く、世界平均を大きく上回っている。「日本はユーザーのエンゲージメントも高く、重要な市場だ」


画像 日本のユーザー増加率は世界平均より高い
画像 秒間ツイート数は、「天空の城ラピュタ」の地上波放送時に世界記録を更新。ただ、コストロCEOはラピュタを「知らない」そうだ

 1秒当たりのツイート数は、日本で何度も世界記録が更新されている。コストロCEOは、Twitterの秒間ツイート数(TPS)が2010年サッカーW杯で日本がデンマークに勝利した瞬間なでしこジャパン優勝時、そして、「天空の城ラピュタ」放送時に世界記録を更新したことに言及。「人々が同じ体験を共有し、人と人との距離を近づけることができるのが、Twitterのすばらしいところだ」と話す。

ライフラインとしてのTwitterを「日本から世界に」

 「3.11(東日本大震災)でTwitterは、教訓を得た。Twitterのライフラインとしての重要さを気付かされた」

 東日本大震災では、電話をはじめとした旧来のライフラインが寸断された状況で、友人や家族の安否確認、交通機関や電力の情報共有、政府機関からの情報発信などにTwitterが活躍。「#prayforjapan」というハッシュタグでは、震災に傷ついた日本人に、世界から温かいメッセージが届いた。

 「Twitterは災害を乗り越える力になる。だからこそわたしは日本に来て、Twitterが災害時にどう活用されたのか正しく理解し、日本での教訓を世界に広めたいと思っている」

Twitterは匿名を大切にする

 震災時は、Twitterでデマが横行したことも問題になった。コストロCEOは、「善意の人が多くいれば、悪意のデマを払拭できる」と、善意のユーザーに期待する。

 日本では、Twitter上で犯罪を告白して“炎上”する例も跡を絶たない。「Twitterはパブリックで検索可能なので、犯罪の場には向いていない。政府や当局と協力し、犯罪行為があれば検知したい」

 実名SNSのFacebookが世界を席巻しているが、Twitterは「匿名を大切にする」という。「Twitterは政治的な言論が重要という価値観。(実名で)政府にたてつき、言論が規制されたり罪に問われることがあれば問題なので、匿名で利用できるようにしてきた。今後も匿名で使える環境を維持する。特定の国でビジネスをするために、匿名性をあきらめることはない」

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