2011年1月に起きた「おせち問題」から1年半。グルーポン・ジャパンは店舗の審査体制やフォローアップ体制の強化などを通じ、顧客の信頼回復に努めてきたという。瀬戸恵介CEOは「全ての店舗が素晴らしいサービスを提供してくれるわけではないことを学んだ」としつつ「日本市場はまだまだ拡大の余地がある」と意気込む。
米Grouponが5月に発表したグローバルでの2012年第1四半期(1〜3月期)決算は、売上高が前年同期比89%増の5億5900万ドル、営業利益が6800万ドルだった。同社は現在48国に拠点を構え、総会員数は1億4200万人に上っているという。
「非常に速いスピードで収益化が進んでいる」――Grouponのファイト・デングラー国際事業担当上席副社長はこう話す。同社は現在、展開中の48カ国のうち35カ国でマーケットシェア1位を獲得しており、今年3月にクーポン販売数1000万枚を突破した日本もそれに含まれるという。
一方、日本で起きたおせち問題の影響についてはこう話す。「おせち問題は当然、日本の一部の人たちの記憶にまだ強く残っているだろう。だがわれわれはこの1年間、きちんと信頼してもらえるブランドになるよう着実に努力を重ねてきた。いまや、信頼を取り戻してくれた人も多いのでは」
おせち問題では、おせち料理という季節性のある商品が予定された期日に届かなかったことや、実際に届いた商品がWebに掲載されていたものと異なっていたことなどが問題になった。その背景として、当時Grouponは店舗数の拡大に向け活発に営業活動を行っており、店舗の事前審査やサポートが追いつけていない状況があったという。
「日本以外の国でも同じだが、急成長に伴い、サービスの品質や財務的な規律がある程度犠牲になった部分がある」とデングラー氏。当時、グルーポン・ジャパンには「毎週50〜60人が入社する」という急成長ぶりだった。
「われわれは早く成長することに誇りを持っているが、同時に急成長には弊害が存在することも理解している。日本は昨年おせちの件もあったし、東日本大震災もあった。社内のオペレーションを立て直すのに時間がかった」(デングラー氏)
グルーポン・ジャパンはおせち問題を受け、今では当時の2〜3倍となる数十人体制で店舗の事前審査を行っているという。審査の項目は全ジャンル合わせて数百規模。発行するクーポンの事前チェックや店舗のサポートを行う部門も2倍に増員、店舗からの問い合わせ窓口も3倍に増員し、ユーザーからのクレームの内容によっては返金対応を行っているという。
「(事件以降は)大変残念ながら“性悪説”に立ってやってきた」と瀬戸CEO。「以前は全ての店舗で素晴らしいサービスを提供してもらえると信じていたが、必ずしもそうではないということをわれわれも学んだ。その中でユーザーに安心してもらい、すばらしい体験を提供するため、店舗の審査を厳格化している」
さらに日本では、クーポン購入者向けのアンケートも実施。例えば飲食店のクーポンなら料理の量や質、スタッフの対応などをユーザーに評価してもらい、店舗側にフィードバックする。ユーザーの評価を基に改善を促すことで、店舗のサービス品質向上を目指しているという。
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