先週末の15日から17日にかけて、中国から日本の多くのサイトにアクセスできなくなった。具体的には日本のYahoo!JAPAN、Google、Amazon、楽天、YOMIURI ONLINE(読売新聞)、TOKYO Web(東京新聞)などの「.co.jp」ドメインの多くのサイトがアクセスできなくなった。ただ全ての日本のサイトが見られないわけではなく、「.com」を使用する朝日新聞デジタルや、日本経済新聞、それに「.jp」の共同通信社や産経新聞社のサイトは見ることができた。例外として、中国企業が取得した「.co.jp」ドメインのサイトなど、中国国内のサーバーで運用しているものについては問題なくつながっていたもようだ。
留学・駐在などの理由で中国に滞在している日本人は、「外務省の海外在留邦人数統計によると131534人(ただしグレート・ファイアウォール外の香港とマカオを含む)。大使館や領事館に届け出を出していない日本人も多数いるため、実際はその2倍前後中国に日本人がいると言ってもいいだろう。外国のフリーウェアが利用できる程度の腕と知識があれば、中国からアクセスできないTwitter、Facebook、YouTube、ニコニコ動画などにアクセスできるVPNソフトをあらかじめ準備した上で中国に上陸できるが、全ての中国在住の日本人がVPNソフトを使いこなせるわけではない。
特にYahoo!JAPANにつながらないともなれば、年配の日本人をはじめ、多くの日本人が何もできず立ち往生してしまう。以前にも4年前の6月14日、Yahoo!メールが中国からつながらなくなったことがあり、混乱が生じたが、今回は数多くの日本のサイトにつながらなくなったので、何が起きたのか他のニュースサイトを確認することもままならない事態となった。
中国のメディアでは報じられていないが、ブログ、「微博」(weibo)と呼ばれるミニブログ、SNSなどでは、日本に縁のあるネットユーザーが「どうなったんだ!」とばかりにコメントをした。もちろんそこには様々な意見が寄せられる。
老舗掲示板サイトでは、ここぞとばかりに捉えようによっては親日的とも捉えられるコメントをしている人に対して、「日本のサイトにアクセスできないと騒ぐとは、売国奴か」と怒りのコメントを出す人もいれば、「2ちゃんねるやYahoo!では毎日のように中国に対する罵詈雑言が流れているからアク禁にして当然」という意見もある。一方、そうした意見を諫めるコメントもある。
この件に関連してブログに転載されていたニュースは、香港メディア「蘋果日報」の推測記事だ。さかのぼること2カ月前となる4月末、中国のネット検閲システム「グレート・ファイアウォール」開発のリーダーである北京郵電大学の方濱興学長が拘束されたという誤報記事を日本の大手新聞が報じた際、方濱興氏が「責任をとってもらう」と発言したという。またMicrosoftやGoogleの中国法人の舵取りをした、中国IT業界では著名な李開復氏も「追求は面倒だから、ネットの壁で封じてしまえ」とコメントしており、これが今回の事件に関係していると推測している。
ちなみにYouTubeやTwitterなどのユーザー投稿型サイトではなく、1ニュースが原因で中国からアクセスできなくなった例としてはノーベル賞のオフィシャルサイトがある。だが、当時ノルウェードメインのサイトの多くが見られなくなったわけではない。
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