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「われわれはジャーナリズムではない」 ニコニコニュースが「ポリシー宣言」

» 2012年12月20日 21時33分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 「われわれはジャーナリズムではないというスタンスに立つことを、改めて説明したい」――ドワンゴは12月20日、「ニコニコニュース ポリシー宣言」を発表した。niconicoのニュースサイト「ニコニコニュース」では今後、原則として独自の報道は行わず、外部のメディアや個人などによる情報を配信するプラットフォームに徹する。「偏向しているといわれないよう、きちんと運営していく」と、同社の夏野剛取締役は話す。


画像 ニコニコニュース ポリシー宣言

 例外として、マスメディアが取り上げないニュースについては独自に情報発信を行うほか、「ニコ割アンケート」によるユーザー世論調査は定期的に行い、ネット世論の動向を伝える。記者会見などの「ニコニコ生放送」は継続。ニコ生党首討論のような政治イベントの主催も行うが、無編集で配信することで「すべてありのままに伝える」としている。ニコニコニュースに関わる社内の部署名も変更。来年1月1日付けで従来の「報道部」は廃止し、「ニュースプラットフォーム部」を新設する。


画像 ニコニコニュース

 報道媒体としてのニコニコニュースは2010年10月、「ニコニコ動画 原宿」とともにスタート。メディア各社の記事を配信してきたほか、独自記事も掲載。都青少年健全育成条例改正案をめぐる動きや、記者会見のオープン化の動向など、ネットユーザーの注目度が高い内容については、オリジナル記事を掲載してきた。

 東日本大震災直後は、被災地からのニコ生中継に合わせ、記事でも現地の様子を伝えるなど、ネット報道で独自の役割を果たしてきたニコニコニュース。今春まではオリジナル記事を1日数本掲載していたが、その本数は徐々に減っており、夏ごろからは数日に1本程度のペースに落ちていた

 「報道チームが急激に増え、これまでやってきたことに一貫性がなかった部分もあった」と同社の川上量生会長。「社外・社内ともに、僕らの立ち位置を明確にするため、ポリシーを明文化した」という。「僕らはニコニコを、個人やメディアといったネット上の発信者にいろんな支援を行うプラットフォームと定義したい。われわれがいろんな意見を持って情報を発信しないということを、改めて強調する」(川上会長)

画像 夏野取締役(左)と川上会長

 継続を表明している記者会見の生中継も、どの会見を生中継するか選ぶ際には何らかの判断が介在するはず。川上会長は「ユーザーの関心が高いもの、重要と思われるものを選ぶ」と説明し、夏野取締役は、「意図があって選ぶのではなく、中立的なものを目指す。偏っているとみられることはあるかもしれないが、ユーザーから厳しい意見をいただき、その都度判断・修正していきたい」と話す。

 党首討論のように、発言の場を提供するイベントも継続。マスメディアやほかのネット企業にできないことは、ニコ動が担っていきたいという。「党首討論を各政党に提案して実現できる母体は現状、ネットでわれわれしかないと認識しているので、やらなきゃいけない。出演する政治家の発言をそのまま中継するのが趣旨。その限りにおいて、恣意的ではないと考えている」(川上会長)

 「政治的なスタンスは取るべきでないと考えているが、われわれはネット企業で、ネットの中で言論活動をしている。記者会見オープン化にも最初に参加したが、従来かかっていた制限が外れていく流れには、積極的にコミットしていきたい。役割があると思える間はいろいろやっていく」(川上会長)

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