「寒いし、旅行しながら仕事したいけど、一緒に沖縄に来てくれる人いないかな」
1月下旬、閑歳孝子さんがこんなふうにつぶやいているのを、筆者は耳にした。
閑歳さんは、家計簿アプリ「Zaim」を開発するベンチャー・Zaimの社長兼エンジニアだ。普段は自宅や近所の喫茶店、都内のオフィスなどで仕事しているが、たまには旅をしながら仕事をしてみたいという。
一方、在宅フリーライターの筆者は、冬になって仕事の効率が下がっていた。「自宅が寒く、キーボードを叩く手がかじかむ。暖かい沖縄なら、仕事が捗(はかど)るかも」。そう期待した筆者は、「一緒に行きたい」と閑歳さんに申し出た。
Web系のエンジニアやライターは、無線LANと電源さえあればどこにいても仕事ができる“ノマドワーカー”とも言える。電源・無線LAN完備のカフェなどがあれば、沖縄でも働けるはずだ。
試しに「沖縄」「無線LAN」「電源」といったキーワードで検索すると、沖縄で働くエンジニアやライターのブログで、ノマドワーカーに向いたカフェがいくつか紹介されているのを発見。セカンドオフィスとしての機能を充実させた、いわゆる“ノマドカフェ”も複数あるようで、沖縄ノマド計画が現実味を帯びてきた。
シーズンオフの冬なら旅費も格安だ。ANAの往復航空券と、那覇中心部での2泊分の宿泊をセットにした「ANA楽パック」を約3万7000円(1人当たり)で予約。2月上旬、最高気温8度の東京を飛び立ち、同21度の那覇に向かった。
目的は、第一が集中して仕事をすること、第二が、筆者にとっては初めての、閑歳さんにとっては10年ぶりの沖縄を楽しむことだ。
羽田空港から那覇空港までは2時間10分。無線LANなど通信も利用できず、ひたすら座っているしかない機内は、集中して仕事できる環境が整っている。
筆者は持ち込んだVAIO Zを開き、原稿を執筆。飽きたらKindleで本を読んだ。「ゴーッ」という、飛行機ならではのくぐもった轟音も周囲の話し声などをかき消してくれ、集中力が増す気がする。
盲点だったのは、PCだけでなくKindleも電子機器のため、離着陸時は電源をオフにしなくてはならないこと。離着陸時に手持ち無沙汰になってしまい、紙の本を読んでいる人をうらやましく思いながら、機内誌を読み込んで時間をつぶした。
「機能1個作ったよ」。席が離れていた閑歳さんは、那覇空港で合流するなりさらりとこう言った。MacBook Airを開き、離着陸の時間以外の2時間フルに開発作業をしていたそう。機内では目の前の作業に集中でき、面倒な機能を仕上げることができたそうだ。
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