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HAHAHA!男の戦いは海を渡る 「トイレッツ」米企業で活躍 「社員はもっと水を飲もう」(1/2 ページ)

» 2013年03月26日 13時26分 公開
[榊原有希,ITmedia]

 殺風景だった男子トイレを、熱いバトルの場にしてしまったセガの画期的ゲーム「トイレッツ」。男性用小便器に取り付け、広告表示しながら、尿の勢いや尿の量を競って遊ぶゲーム型の店舗用電子POPで、2011年11月の発売直後から「その発想はなかった」と話題を呼び、現在では飲食店や娯楽施設を中心に、全国230カ所に導入されている。

 そんなトイレッツが最近、海を渡り、米国のとある企業の男子トイレで活躍しているらしい。その企業とは、Badgeville(バッジビル)社(本社・カリフォルニア)。ゲームの手法をマーケティングなどに取り入れる「ゲーミフィケーション」の草分け企業として知られる。果たして、「ゲーミフィケーション」の“本場”米国で、トイレッツはどんなバトルを繰り広げているのだろうか?

「私が今まで体験したことのないものでした」

photo iPhoneの待受画面にトイレッツを設定してしまったダッガン氏

 「トイレッツはコンセプトがとてもクレバーで、なにより楽しい!」──と手放しでほめるのは、バッジビル社CEOのクリス・ダッガン氏。それがリップサービスではない証拠に、iPhoneの待受画面もトイレッツという入れこみようだ。

 バッジビル社は、ユーザーが自ら進んでゲームをするような手法を他の分野でも用いる「ゲーミフィケーション」の業界を牽引している。世界各地でビジネスを展開し、顧客企業にユーザーや社員の行動を活性化させる仕組みのプラットフォームを提供。例えば、「顧客の一社であるサムスンのサイトでは、ユーザーによるレビュー数やコメント数を倍増させ、クリック購入を500%まで増加させた」実績もあるという。

 そんなバッジビル社を率いるダッガン氏が、なぜ待受画面にするほどトイレッツに興味を持ったのか。

 ダッガン氏はある日、世界のどこかで誰かが、トイレでの体験にゲーミフィケーションの概念を持ち込んだという噂を耳にした。その直後、日本で開催されるカンファレンスで講演するために来日、なんとか滞在中に「その興味深いデバイス」について調べるチャンスを探っていたところに、それが「東京・秋葉原にあるセガのお店にある」という情報を得ることができた。

 「それは私が今まで体験したことのないものでした」と秋葉原で実現したトイレッツとの“運命の出会い”をふりかえるダッガン氏。「トイレッツは、我々の毎日の生活に変化を与え、楽しさと熱中を提供するものです。出来の悪いゲーミフィケーションは、ウケ狙いに終始することも少なくありませんが、トイレッツはセガという、経験と知識のある会社で開発されているため、遊びがケタ違いに楽しいものになっています」

photo バッジビル社内の男子トイレに導入されたトイレッツ。ここで熱いバトルが

 社内でさまざまなゲーミフィケーションを社員に実践させているバッジビル社。ダッガン氏はすぐさまトイレッツの導入を決断した。そうして、トイレッツは海を渡り、数奇な運命をたどって、バッジビル社の男子トイレに設置された。インストールされたゲームは、前にトイレを使った人と尿の勢いを競う「鼻から牛乳」と、尿の量をランキング勝負する「溜めろ!小便小僧」の2種類。社員やバッジビル社を訪れた男性たちの間ではすこぶる好評を得ているようだ。

 「たくさんの人がコンセプトの斬新さを気に入ってくれました。ただ、『鼻から牛乳』はバトル形式だったために好む人とそうでもない人に二分されました。『溜めろ!小便小僧』は、他人との争いではなく、個人目標を達成するためのゲームとして認知され、より多くの人に好まれました。今では、社員から『プレイデータを保存し、長期的なランキングに参加できるようアップデートされるべき』という声も上がっているほどです。私はトイレッツを楽しむため、社員により多くの水を飲むよう、呼びかけていますよ」

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