インターネットイニシアティブ(IIJ)が展開する個人向けデータ通信サービス「IIJmio」がユーザー数を拡大している。個人向けモバイル市場が拡大する中、複数台の端末を使いこなすITリテラシーの高い層に受け入れられてきたが、今後は通信量の少ないライトユーザーへの浸透も目指していく。
IIJmioは、NTTドコモの通信インフラをMVNOとして利用した個人向けデータ通信サービス。SIMロックフリーのスマートフォンやタブレットにSIMカードを差すことで、LTE高速通信も含めたデータ通信やSMS機能を月額945円から利用できる。
同社が個人向けサービスを開始したのは昨年2月。当初はWebサイト限定販売でITリテラシーの高い層に訴求し、複数のSIMカードプランを比較して吟味する“情報強者”のユーザーに受け、「通信速度が速い」といった口コミも広がってユーザーが拡大している。
9月末時点の契約者数は12万3920件。今年度の上半期は4〜6月の純増数が1万8700件、7〜9月が2万2000件と右肩上がり。10月以降も現在のところ好調といい、上期の実績を上回りそうだという。
解約率は「競合他社に比べても低い」という3%以下にとどまるなど、利用者の満足度が高い点もアピールする。帯域の効率的な運用に成功しているポイントの1つは「クーポン」システム。通信プランでは一定量まで高速通信が可能で、上限を超えると速度が制限されるが、クーポンを購入すれば上限を超えても高速通信が可能な仕組みだ。データ通信サービスは一部のユーザーが多くのトラフィックを使い、ライトユーザーの負担が相対的に高くなる構図が避けられないが、クーポンによってヘビーユーザーの自己負担で高速通信の利用者を増やし、極端な不均衡を是正。通信量を平準化するためにうまく機能しているという。
来年度は市場拡大とサービスの認知度向上を目指し、さらなる購買層の拡大を狙う。現在は複数のデバイスを使いこなす、ITリテラシーが比較的高い30〜40代の男性が利用者の中心。今後は主婦層やシニア層など、各種SNSやメールができる程度のリーズナブルなプランを求めているライトユーザーにも広げたい考えだ。
昨年9月にはイオン店頭での販売を開始。「スマートフォンは高い」というイメージを持つ消費者に対し、キャリアとひも付かず、契約期間の縛りもなくリーズナブルな価格で自分に必要な機能を利用できる選択肢としてアピールする。今後、イオンや家電量販店などでSIMカードの使い方の初歩的な啓蒙も行うなど、店頭で浸透に力を入れていく。
プランのシンプルさがIIJmioの強み、と同社。サービス戦略部の青山直継サービス企画1課長は、「サービス開始から1年半が経った今、提供しているのは3プラン。各キャリアの複雑な料金構成に閉口しているユーザーに振り向いてもらえれば」と話し、今後もラインアップの拡大は慎重に検討していくとした。
「SIMカードの認知度もまだ低く、ITに明るくない人にはサービス自体のハードルが高いと思う。端末とのセット販売なども推進し、SIMという言葉を知らない人にも『安いスマホください』という言葉を店頭で使ってもらえるくらい、選択肢の1つとしてさせていきたい」(青山課長)
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