日本マイクロソフトなど教育のIT化を支援する45社で構成する「Windows クラスルーム協議会」と佐賀県教育委員会は12月10日、学校教育のICT化に関する共同研究を始めると発表した。同県では来春から県立高校生に1人1台のタブレットを導入する計画。1人1台を前提としたインフラ構築や、教師による教材作成、セキュリティ対策などについて報告書をまとめ、教育関係者に広く公開する予定だ。
同県の「1人1台タブレット」導入計画は9月に発表され、ネットでも話題になった。計画では来年4月から、県内の全県立高校に1人1台のWindows 8 Pro タブレットを導入。2011年から県内で実施してきた実証研究を踏まえ、電子黒板や電子教科書、個人用学習用PCなどを全教科で活用できる体制を目指す。
調査研究では、(1)1人1台環境にした場合のアカウントや端末の管理、ネットワーク環境など学教環境下における適切なインフラ整備、(2)学習履歴を活用したデジタル教材や、Officeを活用して教職員が教材を自作する際のガイドラインの開発、(3)PCや電子黒板を活用し円滑に授業をするための教員向け研修、(4)学習用PCを持ち帰って使用することを踏まえたセキュリティ対策――の4つをテーマ、来年7月をめどに報告書をまとめる予定。成果は全国の教育関係者に広く共有する考え。
川崎俊広 県教育長は「県としてただインフラを整えるだけでなく指導者側へも研修にも力を入れてきたが、協議会の協力を仰ぐことでさらに効率的に環境を整えていけると期待している。日本国内にまだ事例が少ない中、我々の取り組みが全国に影響に与えられれば」と話す。
日本マイクロソフトの織田浩義執行役・パブリックセクター統括本部長は「学校やプロジェクト単位ではなく教育委員会と包括的に取り組むのは初めて。協議会として活動することで、1社ではできない総合的な支援を行えるのが強み。ICT教育に関して『これが正解』というセオリーはまだないので、あらゆる観点からよりよい方法を探っていきたい。現時点では6月までの協働研究としているが、その後の連携の形も模索する」と意欲を見せた。
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