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「“添付”ではなく“贈り物”としての写真」――Instagramが目指す、写真を中心にしたコミュニケーション

» 2013年12月13日 15時03分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

 米Facebook傘下のInstagramは12月12日、写真や動画を指定した個人やグループとシェアできる新機能「Instagramダイレクト」を発表した。写真を軸にして世界中の人とつながるSNSとして1億5000万人以上のユーザーを集めるInstagramが、クローズドな関係に特化したツールを打ち出した背景や意図を、米本社でプロダクトディレクターを務めるピーター・ダンさんに聞いた。

 サービス開始当初はプロのフォトグラファーをはじめ、写真にこだわりのある人を中心に使われていたInstagram。充実したフィルター機能を使って誰でも簡単に美しい写真をアップできるため、特別なイベントはもちろん日常の何気ないシーンでもよく利用されるようになった。ユーザーは老若男女幅広い年齢に広がり、「層が変わったというより『誰もがフォトグラファーになれる』ことを示せたと思っている」とダンさんは話す。

photo 「Instagramダイレクト」で送信した写真の下には共有相手のアイコンが並ぶ。緑のチェックマークがつくと「既読」

 「Instagramダイレクト」のこだわりはシンプルさ。通常の共有時と同じように写真や動画を加工し、フォローしているユーザーリストから最大15人までの送信先を選んでタップするだけだ。フォローしていない相手を送信先に指定することもできるが、受信者側が承認する必要がある。写真は新しく設けられた「受信箱」に届けられ、リアルタイムに既読の有無が表示されるなど、場所や時間を共有してお互いに送り合うシーンを想定して作られている。

 「他のツールでも写真を送ることはできるが、僕たちのコアはやはりビジュアルメディアであること。開いた瞬間画面いっぱいに写真や映像が目に入り、“添付”ではなく“贈り物”として中心に置いているのが最大の違い。コンテンツのやりとりを起点にコミュニケーションが始まってほしい」(ダンさん)

 年初には8000万だったユーザー数は9月に1億5000万を超え、順調に成長。ビデオ投稿の対応や広告の導入など新機能も続々と追加する。ビデオ機能は、リリースから24時間以内に500万本以上が投稿されるなど反響は上々だという。スポーツなどのイベント時に多く使われる傾向があり、投稿数、時間共に今後拡大していくと期待している。

 広告表示は現在米国内のみでテスト中で、導入は慎重に進めていく考え。「美しいクリエイティブが掲載されている高級な雑誌のようなイメージ。クオリティチェックとして、CEOのケビン・シストロムがすべて目を通している」(ダンさん)と、タイムラインを見る楽しみを損ねないものだけを厳選していると強調した。

photo プロダクトディレクターのピーター・ダンさん(左)。新機能のリリースを終え、テレビ電話でインタビューに応じてくれた

 Instagramのようなフィルター機能を搭載した加工アプリが多く登場する中、「強みは機能や仕組みではなく、ユーザーのつながりやコミュニティー」と言う。「セレブやスターの日常とダイレクトにつながれる一方、記者やジャーナリストによる報道写真で知らない世界を垣間見ることもでき、共通の趣味を通じて友人を作る場にもなっている。もちろん、親密な友人や家族とのクローズドなイベントも大事な思い出の1ページ。好奇心を満たし、コミュニケーションを促進する方法をこれからも考えていきたい」(ダンさん)

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