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「日本のIT、完敗の恐れも」 ヤフー、「パーソナルデータ」活用規制に危機感(2/2 ページ)

» 2014年01月21日 19時25分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 一方で、プライバシー面での懸念や不安も尽きない。昨年、JR東日本が、「Suicaでの乗降駅、利用日時、鉄道利用額、生年月、性別およびSuicaID番号を他の形式に変換した識別番号」から成る利用データを日立製作所に提供したことについて批判や不安の声が上がり、JR東がデータ提供を中止するという事態に発展した。


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 別所氏は、JR東が日立に提供したデータについて「個人が特定できないデータだったにも関わらず、ユーザーが気持ち悪さを訴えた」と指摘。「ビッグデータはまだ使い方が定まっておらず、いろいろな可能性を試みている段階。ユーザーが『気持ち悪い』と思うからといって利活用できなくすると、新たな使い道が分からないまま、使えなくなってしまう」と懸念する。

 ヤフーが志向するのは、事業者にプライバシーポリシーの策定を義務づけるなど業界の自主規制を促しつつも、自由なデータ流通を推進するあり方で、米国のデータ流通の形に近いという。一方で検討会の方針は、一定の条件を満たさない限りデータが流れないという、EUのデータ流通の形に近いと指摘。米国でITビジネスが繁栄し、EUで衰退した背景にはデータ流通の違いがあったとし、日本のIT産業振興のためには米国型を採用すべきと主張する。

 ヤフーは今後、検討会の事務局と意見交換しながら、同社の考えを伝えていくとしている。検討会は6月までに法改正の内容を大綱として取りまとめ、来年にも国会への法案提出を目指す方針だ。

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