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四国短大に日本初の「ボーカロイドコース」 その狙いは 「曲作りの素地培う」

» 2014年04月28日 18時23分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

 四国大学短期大学部音楽科に来年4月、音楽系大学・短大としては国内初となる「ボーカロイドコース」が設置される。「総合的な楽曲制作を学ぶのに最適なツール」とし、音楽分野で広く活躍する人材の輩出を目指す。

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 これまでクラシック音楽、ポピュラー音楽、音楽療法の3つに分けていたカリキュラムを「音楽制作」「演奏」「ビジネス・音楽療法」に再編成。「ボーカロイドコース」は「音楽制作」内の1コースとして設置する。

 作詞・作曲、DTMの基礎、機材の使い方、動画編集など、ボカロ曲の制作から発表までの流れを踏まえて学ぶ。教員として、ヤマハ社員やすでに活躍する「ボカロP」などの専門家も招き、実践的な曲作りに取り組めるという。

 これまでも紙媒体やDTMを使って作詞・作曲は指導してきたが、カリキュラムとしてボーカロイドを利用するのは初めて。来年度のコース開設に先駆け、すでに一部の授業で試験的に「初音ミク」を導入しているが、従来のツールと比べて「こちらが説明しなくても使い込んでいる、驚くほど意欲的」と同大の増田篤志教授は手応えを話す。

 コース設立のきっかけは「2、3年前から学内の発表会でボカロ曲が演奏される機会が増えてきたこと」。「恥ずかしながら『オタクっぽいもの』という先入観があったのでここまで広く愛されていることに驚いた。わざわざ機械が歌ったものをバンドで歌って演奏するって? と最初は疑問だったが、人間に歌わせるには難しいチャレンジングな楽曲もあり、ジャンルも幅広く面白い」(増田教授)

 趣旨として、「『ボカロP』を育てたいわけでなく、作詞・作曲を含めた音楽制作を総合的に学ぶツールとして、教育と研究の現場に導入する価値がある」とし、デジタル時代に楽曲制作を行うには重要なスキルと位置づける。

 人間のボーカルとは異なり音域や技術などに制限がないボーカロイドを使うことで、表現の自由度やチャレンジできる楽曲の幅が広がる――と基礎力の向上に役立つことを期待する。

 「ネットでは『わざわざ学校で教えるものじゃない』という声もあったが、今求められている音楽制作のやり方を総合的に学び、自ら制作し発表する過程を知るには最適な教材。むしろこれまで大学として見過ごしてきたことを反省しているほど。ボーカロイドに歌わせることは目的ではなくあくまで手段。曲作りの基礎的な素地を培ってほしい」(増田教授)

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