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DRM回避は「電子書籍のコストを増大させる」 日本電子出版協会が“コミスケ事件”にコメント

» 2014年05月28日 19時38分 公開
[ITmedia]

 電子書籍のDRMを回避してコピーを可能にするソフト「コミスケ3」を製造したとして、著作権法違反の疑いで横浜市のソフト開発会社社長などが逮捕され、その後不正競争防止法違反の罪で起訴された事件を受け、電子書店やDRMメーカーなどで構成する日本電子出版協会が5月28日、見解を発表した。

 協会は、DRM回避ソフトは結果的に電子書店などのコストを増大させると指摘。被告に厳正な司法判断がなされ、違法コピーを助長する行為が処罰されるとの認識が広まれば、DRMなしの電子書籍の配信も可能になるとしている。

 コミスケ3は、画面キャプチャ機能が動作しないよう仕組んであるDRMを回避し、連続して撮った画面キャプチャを一冊の書籍に仕上げるプログラムから成り立っていたとみている。電子書籍を不正コピーされた電子書店の多くは同協会の会員社で、電子書店にDRM技術を提供していたのも会員社だったという。

 事件の影響について会員社からヒアリングしたところ、(1)DRMの改良など対処が必要になり、費用がかかった、(2)一定期間しか読めないことで価格を安く設定しているレンタル電子書籍が永久保存され、出版社や著者との出品交渉が難しくなった、(3)DRMメーカーは顧客の電子書店からのクレーム対応に費用がかかった――など、対策に費用や手間がかかったという。

 協会は、「DRMはコピー防止対策だが、その費用を純良な読者から頂くことでもある」と指摘。DRM解除ソフトは電子出版の発展を阻害するとし、被告に対し厳正な司法判断を求めている。

 また「電子出版物の不正なコピーを助長する行為は処罰されるのだという認識が広まれば、DRMがなくても電子出版物を配信することができるようになり、より使いやすい電子出版物を増やすことができる」とし、違法コピーの抑止が結果的にDRMなしの電子書籍普及につながるとしている。

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