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「ゲームをコアに、エンタテインメントのすべてを」 「Angry Birds」のRovioはディズニーになるか?

» 2014年06月27日 14時17分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

 全世界で20億回以上ダウンロードされている「Angry Birds」を生み出したRovio。フィンランドがモバイルゲームに注力するきっかけの1つになったほどの大成功を収めた同社が目指すのは「ゲーム企業」ではなく「グローバルエンターテインメント企業」。グッズやアニメなどへの展開にも力を入れる今後の戦略を聞いた。

photo 累計ダウンロード数世界No.1の「Angry Birds」

 2003年に創業したRovioは、スマートフォンの登場と普及に伴い人気を伸ばしてきた。「Angry Birds」がリリースされたのはiPhone発売からまもなくの2009年。タッチスクリーンならではの気持ちよさ、単純だが工夫しがいのあるゲーム性、バラエティ豊かなキャラクターのコミカルな動きが「やめられない」「中毒になる」と話題を呼び、世界中で大ヒットした。

 宇宙を舞台にした「ANGRY BIRDS SPACE」、映画「スター・ウォーズ」とコラボした「ANGRY BIRDS STAR WARS」、3Dカーレース「ANGRY BIRDS GO!」などシリーズ展開し、いずれも数億ダウンロードを超える大ヒットを記録。最新作として12日(日本時間)、アクションゲーム「ANGRY BIRDS EPIC」をリリースしたばかりだ。

photo 同じキャラを異なるゲーム、異なる世界観に横展開
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 ヒットゲームを生み出し続けているRovioだが、「目指すのはゲーム企業ではなく、ゲームをコアコンテンツとしたグローバルエンターテインメント企業」――と、同社PRのヤノス・ホンコネンさんは話す。同社の経営陣は、目指す姿として「ディズニー」を掲げることも多い。

photo 本社があるビルの1階にはAngry Birdsストアが。取材時は営業時間外だった

 Angry Birdsに登場するキャラクターたちをアパレルや文具など多種多様なグッズ、世界40カ国以上で展開する書籍や学習コンテンツ、アニメ、映画などに積極的に展開している。同社の財務報告によると、13年の売上高1億5600万ユーロのうち、コンシューマー向けのグッズ販売が47%とほぼ半額を占めている。

 アニメ部門は人員獲得も進めており、現在120人程度の従業員を抱える北欧最大のスタジオに成長しているという。アプリ内でも定期的に新作を配信しており、繰り返し起動してもらうきっかけとして有効だという。

 ゲームからリアルの世界に飛び出す施策として、体を動かす遊具やデジタル技術を使ったアトラクションを楽しめるテーマパーク「Angry Birds」、ケネディ宇宙センターなどに設置されている「Angry Birds Space Encounter」、幼稚園など教育機関とともに取り組む未就学児向けの学習プログラム「Angry Birds Playground」を展開する。

photo ヤノス・ホンコネンさん

 「教育はエンターテインメント、そもそもゲームと相性がよい。単なるゲームキャラという以上に、ファミリーや子どもたちに、世代を超えてAngry Birdsに親しみを持ってもらえれば」(ホンコネンさん)

 Angry Birdsの売り上げ上位10カ国は米国、中国、韓国、英国、ドイツ、フランス、カナダ、オーストラリア、ロシア、メキシコ――で、日本はランク外だ。「パズル&ドラゴンズ」と相互にコラボしたり、メディアと協力して日本語の解説サイトを立ち上げるなど、ユーザー獲得に力を入れる。東京オフィスの専属スタッフを中心に、新たなパートナーは常に探していく姿勢だ。

photo ロビーにはイラストやグッズ
photo 冷蔵庫の中の飲み物にも

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