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総務省が募集する「変な人」ってどんな人? 「異能vation」(いのうべーション)担当者に聞く(3/3 ページ)

» 2014年07月07日 08時11分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 具体的な人物像として、Facebookを開発したマーク・ザッカーバーグ氏や、P2Pファイル交換ソフト「Winny」を開発した故・金子勇氏をあげる。金子氏のような革新的な発想・技術を持つ技術者に、金銭的・法的サポートを行うことで、社会的に受け入れられる形でその才能を発揮させたいという。

 革新的な技術は、法的リスクを伴うこともある。Winnyは違法ファイルの交換に使われ、金子氏は著作権法違反ほう助の罪で逮捕・起訴された(最高裁で無罪が確定)。「“変な人”は、『技術的に可能ならやってもいいじゃない』と、法的リスクを気にしない人が多い」。高村氏は言う。

 「変な人」枠では弁護士のサポートを付け、技術を合法的に活用する手法を検討できる。特許の専門家の協力を得て、開発した技術を守ることもできる。「変な人を守るための体制を考えられる限りそろえた」(同省の笠井康子・情報通信国際戦略局技術政策課技術企画調整官)

「ただの変な人」はNG

 「変な人」がチャレンジする技術課題は、応募者次第でもあるため「分からない」(高村氏)面が大きいが、一例として、インターネットの次のアーキテクチャの提案、光通信の効率化技術、高効率な画像圧縮技術、LTEが採用する「OFDM」に匹敵する効率の携帯電話用変調方式――などを挙げる。

 「ただの変な人」は歓迎しない。科学の世界で「Believer」と呼ばれるような、根拠なく信じ込んでいるだけの人はNGだ。国の研究費申請には、永久機関やタイムマシンを作るとか、相対性理論は間違っていると主張する人が必ずいるというが、そういった人は、証明する価値のあるほどの根拠がない限り不採択になるという。

「変な人」の可能性、一般企業にも伝えたい

 「変な人」は国のいちプロジェクトで終わらせず、一般企業の意識改革にもつなげたいという。一般企業はリスクを嫌い、変わった人の採用を控えるケースも多いが、「一般企業などが採用試験ではじいている人にも面白い人がいる。リスクを取ってそういう人を雇い、活躍の場を与えてみてほしいと伝えたい」と高村氏。「一番コンサバティブである国が、それをやることに意味がある」と笠井氏は話している。

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