ソニーは9月19日、眼鏡型ウェアラブル端末「SmartEyeglass」を発表し、SDKの提供も始めた。移動中や娯楽鑑賞中の情報提供などの用途を想定し、各種センサーを搭載しながら軽量で装着しやすく配慮しているという。今年度内には開発者向けに実機も発売し、アプリ開発を促すことで時間をかけて普及を目指していく考えだ。
今月上旬に開かれた家電展示会「IFA 2014」(ドイツ・ベルリン)に出展したもの。「エンタメをもっと楽しく」をコンセプトとした個人向けの眼鏡型デバイスで、具体的な用途として映画や舞台の字幕や解説、スポーツ観戦やコンサートでの情報提供、移動中のナビゲーション──などを想定している。
あくまで現実の風景やコンテンツを中心に据え、視界を邪魔することなく、シンプルに情報を付け加えることを目指す。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)やバーチャルリアリティとは対極にあるものと位置付けている。
開発時に重視した点として(1)付けていて自然な外観、(2)見やすさ、(3)かけ心地――の3点を挙げる。ホログラムを用いた独自の光学モジュール技術を利用し、普通の眼鏡と変わらない薄さ3ミリのレンズで85%の透明度を実現。重さも77グラムと軽量で、長時間の利用でも苦にならないという。カラーではなく単色表示とすることで電力消費も抑え、周囲の環境や明るさにもよるが約3時間程度は利用できるという。
加速度センサー、ジャイロスコープのほか、300万画素カメラやマイクも搭載。情報を表示するだけでなく、視界を撮影したり、音声認識でSNSへ投稿などもできる。GPSによる位置情報の取得やインターネット通信は、無線LAN/Bluetoothで連携したAndroidスマートフォンを介して行う。
製品発売に先駆け、エミュレータやサンプルコード、APIリファレンスなどをまとめたSDK(ソフトウェア開発キット)をアプリ開発支援サイト「Sony Developer World」で公開する。すでにクックパッドやゼンリンデータコム、ケイ・オプティコム、ユークリッドラボがデモアプリを公開している。
開発者向けの実機も今年度中に発売する予定だ。価格は現在のところ未定だが、「他社の類似製品と大きく異なる価格ではない」という。米Googleは「Google Glass」を1500ドルで販売している。
同社デバイスソリューション事業本部SIG準備室の武川洋統括部長は、ウェアラブル端末への展望として「社全体として開発には力を入れていきたい分野。すぐに一般に普及するものではないが、ある程度長い時間をかけて市場を作っていきたい」と意気込む。
アプリ開発に関しては、「もちろん多くの方に興味を持ってもらいたいが、数を追求するよりもこのデバイスの特性をフルに生かしたものが出てきてほしい」と話している。
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