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“きれいでかわいい”だけじゃない、“ミステリアスな女性”を美しく――マツオヒロミさん教えて! 絵師さん

» 2014年09月22日 10時00分 公開
[山崎春奈ITmedia]
photo 「【マンガ訳】太宰治」表紙

クリエイター:マツオヒロミ

Webサイト:matsuohiromi.com

pixiv:matuohiromi/Twitter:@matuo


 物心ついたころから絵を描くのが好きでした。本格的に一枚の作品として仕上げるようになったのは小学校高学年のころで、イラストレーターのいのまたむつみさんに憧れていたのを覚えています。大学は人文系に進みましたが、友人たちに「絵が趣味なんだね」と言われた時に猛烈な違和感を抱き、趣味ではなく絵を描くことを中心に生きていきたい、仕事にしたいんだと気が付いてから意識が変わりました。

 Webで作品を発表しはじめ、気に入って下さった方から少しずつイラストの仕事をいただくようになりました。仕事が軌道にのるまで、古本屋で働いたりWebデザイナーをしたり、漫画投稿したりを経て、5年前に独立して今はフリーランスです。根を詰めすぎないように、週に1日は休むようにしています。

 作画は基本的にフルデジタルで、PCは「iMac 10.7」、ソフトは「Photoshop CS 5.1」、ペンタブレットは「Intuos4」を主に使用しています。

 こだわっている部分は、身体の表情。どのくらい肩を落とすか、指はどのくらいの角度で曲げるか、腰はどのくらいひねるか――などなど、顔だけでなく身体でもさまざまなニュアンスが出せるので、キャラクターに思い入れながらリアリティを追求しています。私の場合、こだわりは頑迷さとも紙一重だなと思うことも多かったので、逆に最近は「こだわりすぎない」ということも意識していますね。

 影響を受けたアーティストは、竹久夢二やオーブリー・ビアズリーでしょうか。絵に込める美意識、画面構成のかっこよさ、大胆な部分と繊細な装飾との緩急のバランス、などは今も憧れです。イラストではないですが、谷崎潤一郎の作品も大好きです。……こう考えてみると、ミステリアスで哀愁や毒を感じる女性が好きなのかもしれません。総じて「きれいでかわいい」だけではない、影の部分や黒い部分があってはじめて魅力が増すような作品に惹かれ、目指していると思います。

教えて! 自慢の1枚

 子どもの頃から本屋が好きだったので、自分が表紙を手がけた本が店頭に並んでいるのを見ると「憧れの場所に自分の居場所があるなんて!」と、とても嬉しいです。絵を描くことを手放さなくてよかったなと思います。

photo 白と黒(イラスト集「どらまちか」収録)
photo 真(イラスト集「Elegant liar」収録

 上の作品は個人の作品集に収録したものです。同人誌即売会では自らブースに立って販売しているのですが、直接お客さんと触れ合うことで毎回勇気づけられています。

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