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奇抜なアイデアを形に、「実況」を味方に――広がる「自作ゲーム」の裾野 メジャーシーンと違う豊かさを(3/5 ページ)

» 2015年06月19日 13時00分 公開
[山崎春奈ITmedia]

――PCゲームのみで見ても数十年、「自作ゲーム」というジャンル自体は存在しているが、今フォーカスされている理由は。

 クオリティの高さをアピールポイントにした大作ゲーム、人気IPのシリーズ作重視など、ゲーム業界のメインストリームが、最大公約数のユーザー向けの作品に偏重している反動が1番の原因だと思います。

 万人受けにはほど遠いために製品化できない奇抜なアイデアや、すでに廃れたとされているものの、依然コアなファンがいるゲームジャンルも、自作ゲームなら、個人の裁量でゲーム化できてしまう。そういう意味では、メインストリームが切り捨てた方向・可能性が存続する場であることが、自作ゲームというジャンルの魅力かもしれません。

 加えて、“ネット発ブーム”の定番化・既定路線化、スマートフォンの普及によって加速したテレビゲームのカジュアル化もあげられます。それまで情報が届いていなかった層に、自作ゲームの存在や魅力が伝わりやすくなったことも、注目を集めやすくなった理由の1つです。

――開発者、ユーザーそれぞれの年齢層などの傾向は。

 シューティングや対戦格闘など、アクション性の強い作品を作り込んでいる開発者は、それらのゲームジャンルのブームをリアルタイムで経験した30代以降が中心です。「ツクール」シリーズなどのゲーム作成ツールありきの開発者は、10代中盤〜20代をボリュームゾーンに、幅広い年齢層にわたっています。近年は「ゲーム好きが高じて」というよりは、オリジナルのイラストや物語を表現する手段としてゲームを選択する――というケースが多く見られます。

 ジャンルとしては、開発ツールが充実しているRPGとノベルゲームが大勢を占めます。ツール製タイトルは似通ったものになりがちですが、「コープスパーティー」のようにゲームシステムや演出面で独自性を強めたり、主人公の行動に目的が存在しない「ゆめにっき」のように、本来そのゲームジャンルにあって当然の要素を抜いたりと、同じツールを使っているからこその大喜利的なアイデア勝負が、結果として作品の多様性、クオリティの向上につながっています。汎用性の高いゲーム開発環境で作られるゲームは、作り手の発想と熱量次第ですね。

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