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iPhone 6sはチップ製造元によってバッテリー性能が違う? Appleの主張と検証まとめ

» 2015年10月14日 16時40分 公開
[大村奈都ITmedia]

 米Appleが9月に発売した「iPhone 6s/6s Plus」に関し、プロセッサの製造元によってバッテリー性能に差があるといううわさがある。Appleは「チップによるバッテリー性能差はほんのわずかだ」と表明しているが、各国のブロガーなどが実施しているベンチマークテストの結果にはばらつきがある。これまでに出た情報をまとめてみよう。

 iPhone 6sが搭載する「A9チップ」は、ファウンドリ(半導体受託製造)の台湾TSMCと韓国Samsung Electronicsの2社によって生産されている。TSMC製は16ナノメートルプロセスで製造され、数も少ないのに対し、Samsung製は14ナノメートルプロセスでチップ面積が小さく、全ロットのほとんどを占めると言われている。

photo 2種類のA9はサイズが違う(出典:Chipworks公式ブログ

 これら2種類のチップをめぐってまことしやかに広まったのが、「同じiPhone 6Sでも性能に差がある」といううわさだ。中でも「バッテリーの持ち時間が6〜22%も違う」「(一般的には14ナノメートルプロセスの方が消費電力が少ないはずなのに)今回はTSMC製が当たり」といったうわさが、10月初頭ごろから急速に広まっている。

海外レビュアーによる比較動画では5%もの差がつく結果に

 一方、米TechCrunchによれば、Appleは一連のうわさに対し「チップによるバッテリー性能の差は2〜3%に過ぎない」とコメントしている。ブロガーなどに行われたベンチマークテストや検証動画の多くは「人為的に作られた」ものであり、実際の使用実態には合わないという。

 このAppleの主張を裏付けるような実験も行われている。米Ars Technicaが行ったベンチマークテストによると、iPhone 6s/6s Plusが搭載しているTSMC製A9チップとSamsung製A9チップのバッテリー性能差は、4種のテストツールのうち3つで2〜3%の範囲に収まるものだった。

photo ベンチマークテストの結果(出典:Ars Technica

 残る1つのGeekbenchテストでは、TSMC製が大きくリードする結果となった。だが米ブログメディアのMacRumorsによれば、Geekbenchテストは現実をあまり反映しないものであり、2〜3%程度しか差のつかなかった3つのテストが実際の使用状況に応じたものだという。

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