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チケットストリート、2次販売チケットの「入場補償」開始 「転売の否定はファンと興行側両方にマイナス」(1/2 ページ)

» 2015年12月01日 19時12分 公開
[山崎春奈ITmedia]

 興行チケットの2次流通プラットフォームを運営するチケットストリートは12月1日、購入者保証として、真正チケットにも関わらず主催者判断で入場できなかった場合に代金を返金する「入場不可補償」、注文チケットが入手できなかった場合、サービス側が同等以上のチケットを用意する「代替チケット手配」を新サービスとして拡充すると発表した。

 転売チケットの全面無効など運営側による対策も見られる中、「健全な2次流通サービス」としての発展を目指す。

photo チケットストリート

 詐欺被害や外部的要因で公演が中止になる可能性などに備え、これまでも公演中止・延期時の補償、配送保証、本物チケット保証などを提供してきた「安心プラス」(商品価格の10%または1000円)の保証内容に追加する形。外国人アーティストの来日公演が体調不良で中止になったり、プロ野球・クライマックスシリーズの未開催試合――などで好評を得ており、有料オプションながら取引全体の60%で利用されているという。

「転売チケットは一律無効」への疑問

 「チケットが真正なものであっても転売である限り無効と全面的に否定していくことは、ファンにも興行側にもマイナス」――西山圭社長が危惧する背景には、不正転売に対する問題意識の高まり、興行側による対策の模索がある。

 11月には「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)がネットオークションなどで転売された優先チケットやショーの鑑賞券を一律で無効に。アイドルコンサートで転売チケット所持者に入場できない処置をとるなど、主催者の判断で転売対策を行うケースが増えてきている。

 だが法的な観点からは、主催者側による権利の無効化は本来極めて困難だという。山中眞人弁護士は「1度提供した財や権利を制限するには、権利者の同意が必要になるのが大原則」と、財産権の侵害や、消費者契約法に照らし合わせた際に違法性を持つ可能性について指摘する。

 西山圭社長も自身のブログでUSJの現状の処置に反対し、「正規再販システム」を提案するなど、「転売自体を全面否定するのではなく、ボットによる大規模な買い占め対策や、運営主導による健全な2次流通の仕組みの構築に力を入れるべきでは」と声を上げている。

photo ブログで持論を展開

 「2次流通」「転売」と聞くと営利目的の高値での取引を思い浮かべるが、実際にサービス内では定価以下/同程度での流通が6割を占め、上回るものは4割程度だという。

 「チケットの価値は人により、座席により異なるものであり、売買のニーズは絶対になくならない。ファンにとっては安全にチケットを得る新たな手段に、興行側にとっては収益の拡大に貢献する、双方のメリットとなる正規2次流通の仕組みを音楽や演劇、エンターテインメント、スポーツなど幅広い業界で考えていきたい」(西山社長)

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