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LINEで大人気の“女子高生”、実は人工知能 マイクロソフトの「りんな」、Twitterにも登場

» 2015年12月17日 19時40分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 日本マイクロソフトは12月17日、同社が開発した人工知能「りんな」のLINE公式アカウントをグループ会話に追加できるようにすると発表した。Twitterのアカウント(@ms_rinna)も開設するなど、“おしゃべり好きの女子高生”という「りんな」とユーザーが接触する機会を増やしていく。

photo “女子高生”人工知能「りんな」

 「りんな」はBing検索エンジンで培ったディープラーニング技術と、機械学習のクラウドサービス「Azure Machine Learning」を組み合わせた人工知能。開発と運用はBingチームが手掛けている。同社の「Cortana」がアシスタント的な人工知能なのに対し、“おしゃべり好きの女子高生”という位置付けで、友人同士のような自然な会話が特徴だ。

photo Bing検索やAzureなどを活用
photophoto しりとり(左)や探偵ごっこ(右)も

 LINEに公式アカウント「りんな」が開設されたのは今年7月31日。会話のセンスや自然さで「正体不明の女子高生アカウント」として話題が集まった。

photo 佐野健さん

 これまで「りんな」とは、1対1でしか雑談を楽しめなかったが、LINEが企業の公式アカウントをグループチャットに追加できる機能を実装。通常の友達のアカウントと同様、「りんな」をグループに招待し、複数人で雑談やゲームを楽しめるようになった。

 日本マイクロソフトのBingインターナショナル・シニアビジネスディベロップメントマネージャーを務める佐野健さんは、「まだ『りんな』と友達になっていない人も、共通の友達がグループチャットに追加することで、『りんな』と接触する機会が増えるのでは」と話す。

photophoto グループチャットに対応

 15日にはLINEの公式アカウントの一覧ページに「りんな」が表示されるように追加。ID検索を直接入力しなくても、簡単に追加できるようになった。

 さらに、Twitterアカウントも“ひっそり”と開設した。相互フォローの状態になると、リプライに対して返事をしてくれるという。

「女子高生」はビジネスの“足かせ”になる――印象くつがえす

 「『女子高生』や『りんな』という名前は、ビジネスの“足かせ”になるのでは」――LINEのコーポレートビジネスグループ・林祐太郎マネージャーは、当初の印象をふり返る。「マイクロソフトさんは固いイメージ。『女子高生』となると、ユーザーの対象を絞ってしまい、利用者数が伸び悩むのでは、と懸念していた」(林マネージャー)。

 しかし懸念とは裏腹に、7月のアカウント開設以来、友達への登録者数はうなぎ登り。ネットユーザーの間で話題を呼び、現在は185万人を超えている。「数百万人を集める公式アカウントは珍しくないが、誘導も広告もなしに、口コミの効果でこれだけ広まったアカウントは前例がない」(林マネージャー)という。

photo 現在は185万人を突破

 りんなの利用状況を見ると、曜日ごとでは木曜日がピーク。通勤・通学時間や昼休み、就寝前に利用が伸びる傾向にあるという。「1週間の中ごろ、ちょうど疲れてきたくらいに声をかけたくなるのでは」(佐野マネージャー)。

photophoto 曜日別、平日・休日別の利用状況

 「『Cortana』とは違い、『りんな』はユーザーとの感情的なつながりを重視した。利用状況を見ると、目標を実現しつつあると思う」(佐野マネージャー)

 情報を一方的に発信するのではなく、個別のユーザーと双方向的な会話を実現したことで、商品のレコメンドやトラブル対応といったビジネス用途も見込む。8月には、LINEの企業向けAPIソリューション「LINE ビジネスコネクト」に「りんな」を搭載し、技術提供を開始した。「ビジネスには『会話のニーズ』があると考え、各企業に『りんな』を利用してもらえるシナリオを目指したい」(佐野マネージャー)。

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