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クレヨンに絵の具に色鉛筆 カラフルに幸福を重ねて momocさん教えて! 絵師さん(1/2 ページ)

» 2016年01月25日 11時00分 公開
[山崎春奈ITmedia]
photo 帰り道(クリックでpixivへ)

クリエイター:momoc

Webサイト:Sjapu:

pixiv:momoc/Twitter:@tocomomomo

 絵を描くことは小さい頃から好きで、学生時代は毎日描いていました。就職して絵とは関係ない仕事に就き、終電で帰ったり出張したりの忙しい生活が続き、すっかり絵を描かなくなりました。当時は仕事に夢中だったので、その時期はそれで楽しかったのですが。

 転職を機にぽっかりと時間ができ、何か始めたくて「そういえば絵が好きだったな」と再び描きはじめました。ところが、数年のブランクのために全然描けなくなっていて……継続することは大切なんだなと思いました。

 久しぶりにインターネットに戻ってきたらSNSツールがいろいろと増えており、それからは絵を描いてはWebなどで公開するようになりました。いろんな人に見ていただけて、まれにですがグループ展や絵のご依頼のお話をいただくようになりました。Webのおかげで知り合えた方もたくさんいらっしゃいますし、インターネットは偉大だなと思いました。

 現在も会社員をしながら創作を続けています。ここ数年はまた忙しく、制作に取れる時間が減ってきました。平日は仕事から帰ってきて家の事をいろいろしてから1時間くらい。翌日が休みの日だと夜から明け方まで絵を描いている日もあります。1時間ではあまり進まないので、もっと絵を描きたいのが本音なのですが、最近はその分着色に手軽なツールを使うようにしています。

 現在はクレヨンをメインに、色鉛筆、透明水彩、アクリル絵の具、コラージュを組み合わせて絵を描いています。ほぼアナログ作業で、絵をWebで公開するためにCLIP STUDIOで少し色味を加工、加筆しています。

 社会人になって絵を再開し、pixivを始めた当初はCGだけで描いていたんです。CGにうとくて、絵の質感の出し方がよく分からず、じゃあ絵の具で描いちゃった方がいいんじゃないかとアクリル絵の具で描きはじました。ただ、アクリルも最初うまく使えなくて……とにかく、色の塗り方が分からない! アクリルやクレヨンで半分描いたのをスキャンして、残り半分をCGで加筆していました。ごまかしごまかしの描き方でアナログともCGとも言い切れない絵でしたが、それはそれで良い味になっていたように思います。

 そんな絵をWebで公開していたら、アナログ絵描きだと思っていただいたのか、グループ展など展覧会の出品依頼をいただくようになりました。さあ困ったぞ、と。展覧会に出品するのではCGが使えないのですから。

 それからはアクリル絵の具を中心にアナログですべて描ききるようにしました。展示だと質感を見てもらえるので、絵の具を盛ったり布や紙でのコラージュが楽しかったです。

 しばらくアクリル絵の具で描いてたのですが、数年前から絵を描ける時間が極端に減ってしまって。絵の具を使うと、色混ぜの手間や、乾く前に一気に塗るために必要なまとまった時間の確保が難しくなりました。それまで大きめの絵で1カ月ほどかかっていたものが、さらに時間がかかってしまう……と思うとアクリル絵の具に限界を感じました。

 それまで効果としてたまに使っていたクレヨンを主体に描くようになったのは、そんな経緯です。アクリル絵の具のようにポッテリ色を塗れて、上からクレヨンや色鉛筆で引っかけば混色や質感出しも容易。定着スプレーをかければ、失敗した部分もまったく違う色に重ね塗り可能です。水彩と組み合わせて、絵の具を弾かせるのも楽しいです。なんといっても、すぐ中断できてまた再開できる手軽さが良いです。人物などの細かい部分は透明水彩や色鉛筆で描いています。

 それからはクレヨンに夢中で、今はクレヨンの描き方を模索中です。描きながらツールの書き味やマチエールを試すのが楽しくて、毎回模索しながら描いています。少しづつ毎回違うことを試すようにしています。毎回変えてしまうので、少し前の描き方がよかったなあ、どうやって描いたんだったっけと思う時もあります。今はこの描き方ですが、数年後はまた違うツールに夢中になっている気もします。

 まとまっているよりも「少し違和感」があるものが好きです。あえて雑に塗ったり、コラージュを織り交ぜたり、穏やかな絵の中に怖い要素を入れてみたり、逆に真面目な絵にとぼけたモチーフを入れたり。私自身そういう絵が好きで、小さい頃に美術の本で違和感のある絵を飽きずにじーっと眺めていたからかもしれません。

 昔から絵本が好きで、絵本や絵本作家さんに影響を受けてきています。佐々木マキさんは私の大好きな違和感と、とぼけ、シュールでいっぱいで、小さい頃から夢中でした。長新太さん、荒井良二さん、五味太郎さん、センダックさんも好きです。

 普段の生活の中のささいな発見や気持ちをテーマに描いています。「お母さんのごはんが毎日楽しみだったな」とか、「夏休みのわくわくする感じが好きだったな」とかささやかな幸せを掘り起こして絵に描いています。

教えて! 自慢の1枚

命の刻印

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 「根」の形に興味を持って描いた絵です。木の枝、根、川の形、猫や鳥、僕や君の心臓の形……それぞれ違う皆が、同じ形を持っているのが面白いなと思い描きました。

帰り道

 帰り道と、家に帰るとご飯が待っている感じが好きで描いた絵です。子供のころに、今日の晩ごはんなんだろな、と思い家に帰る時間は幸福な時間だったなと思い描きました。

明日の話

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 椎名もたさんの「コケガネのうた」のジャケットです。表紙である右側に無邪気さ・停滞、裏表紙に成長・母性・明日の意味を込めたモチーフを描きました。

 今回の取材にあたって「絵を描く」をテーマに描き下ろしをいただきました。メイキングは次のページから。

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