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ボカロPは「1人レコード会社」? 活動広げるネットクリエイターたちの新たな権利と義務「好きなことで、生きていく」の現在(1/2 ページ)

» 2016年02月26日 13時00分 公開
[山崎春奈ITmedia]

 「好きなことで、生きていく」――YouTuber、ボカロP、絵師、歌い手、ゲーム実況主など、ネットを中心に活躍を広げ、生計を立てるまでに至り、個人事業主として独立する人はもはや少なくない。そんな「ネットクリエイター」たちが安心して創作活動を続けられるよう、生活面を支える組織が「日本ネットクリエイター協会」(JNCA)だ。

photo 毎年開催している「ネットクリエイターのための確定申告講座」

 ボカロPのサポートをしてきた「浜町音楽ギルド」から発展し、2013年にドワンゴの横澤大輔執行役員CCOを代表理事として発足した同協会は、業界各社との交渉、個人や家族の健康保険や確定申告のサポートなど、ネットクリエイターの社会的な権利と義務を守るために活動している。

photo 日本ネットクリエイター協会

 毎年この時期に開催している「ネットクリエイター向け確定申告セミナー」は、ネットで活動する人に特化した内容が特徴だ。今年は2月11日に実施し、朝日税理士法人の小林浩二税理士が「2015年4月から自宅(賃貸)でボカロPとして1人で事業を開始した」という想定で、確定申告に当たって知っておきたいポイントや手順をレクチャーした。

 一通り基本を押さえた後は、「収入が増えてきたが節税を考えるとどこで法人化すべき?」「絵師さんや動画師さんと共作する場合は領収書を発行する必要がある?」「自宅が仕事場の場合、家賃と経費はどう分ける?」「『料理を作ってみた』の材料費は経費になるのか」「マイナンバー導入後にネット上の活動が会社バレしないか不安」――など、より実践的・具体的な内容に。ニコニコ生放送のコメントにも回答し、1万3000人超の視聴者を集めた。セミナーの様子はニコニコ生放送でアーカイブを視聴できる。

photo 具体的なシーンを想定して解説
photo マイナンバー制度への言及も

 小林税理士は「まずは、ネット経由で得た収入もしっかり申告する必要があることを自覚してもらいたい。サラリーマンとして働いていると、税に対する基礎知識がない人も多いので、基本から解説するこのような機会を活用してもらえれば」と意義を話す。

 仁平淳宏理事は「毎年新たなトレンドが出てくるのがネットの世界。来年どんなジャンルにスポットが当たっているか予想がつかない」と、毎年新たな内容を追加し、視聴者から出てくる質問も変わっているとこれまでを振り返る。今年は「ゲーム実況主」にスポットを当てた部分が増えたそうだ。

ボカロPは“1人レコード会社” 広がる活動と権利

 そもそも、「ボカロP」「歌い手」「絵師」「ゲーム実況主」などと一口に言ってもそれぞれ活動は大きく異なる。企業からの発注業務を請け負う通常のフリーランスに近い形態だけでなく、動画の再生数に応じて支払われるYouTubeの広告収入やクリエイター奨励プログラム、イベントやステージへの出演料、有料チャンネル、「ブロマガ」などの有料ブログ、メールマガジンと、収入源は多岐に渡る。

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