国土地理院は3月30日、訪日外国人が分かりやすいようにする外国語版の地図記号15種類を発表した。郵便局やホテルなど15種類の記号を新たに定めたが、「ナチス・ドイツを想起させる」との意見が寄せられていた寺院を示す「卍」は変更せず、五重塔をイメージした新記号の採用を見送った。
外国人にアンケート調査した結果を踏まえ、18の施設について新しい記号を作成。1〜2月にパブリックコメントを募集した上で、全15種類の記号を決定した。郵便局は「〒」ではなく「封筒」に改めるなど、外国人にもなじみやすいマークとなっている。
提出案のうち、寺院、モスク、観光案内所の3種類の記号案は見送りに。寺院を意味する「卍」は「ナチス・ドイツを想起させる」として「三重の塔」の新記号を提案していたが、「『卍』の由来を説明し、外国人に理解してもらうべき」「三重の塔は神社にもあるため、混乱する」――などのパブリックコメントの意見が寄せられた。「広く普及・利用される地図記号とは言えない」と判断し、当面は「Temple」「○○Temple」「卍(Temple)」「卍 ○○Temple」といった表示を推奨するという。
モスクの記号案は、「まず日本の地図記号にしておかないと日本人が説明できない」「各国でさまざまな記号が使われている」との指摘を受けて不採用。観光案内所も、国際標準に合わせた「i」記号を用いる方向で検討する見込みとしている。
3種類を除き、新たに決定した15種類の地図記号は、国土地理院が外国語版地図を作成する際の基本として採用する。地方公共団体や民間地図会社などにも広く周知し、活用を促すという。
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