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戦隊ヒーローに変身できそう? 腕にセットする“装着型プリンタ”が物流現場を変えているあなたの知らないプリンタの世界(1/2 ページ)

» 2016年05月12日 11時00分 公開

 手の甲から前腕部に装着しているこのアイテム、一体何か分かりますか? まるで戦隊ものの変身ガジェットのような見た目ですが、実は装着タイプのプリンタなんです。「腕にプリンタ……?」という疑問もごもっとも。“縁の下の力持ち”として、こんなところで活躍しているんです。

photo これが前腕装着型のインクジェットプリンタだ!

 不思議なガジェットの正体は、プリンタ業界でも珍しい、装着タイプのスキャナー&インクジェットプリンタです。手の甲にはマウス大の器具、そこからケーブルで接続された前腕部にはバッテリーがつながっています。

 スキャナーとプリンタ、コピー機能を併せ持つものを「オールインワン・プリンタ」と言いますが、こちらはその最小版とも言えます。このプリンタ、何のために、そしてどのように使われているのでしょうか。

人間と最新技術のコラボレーションで効率的に

 写真をよく見ると段ボールにかざしていることが分かります。流通現場で使われるこのプリンタは、データサーバーとWi-Fiで接続しており、次から次に流れてくるパッケージの「データ読み取り」「データベースと照合+割り当て情報の受け取り」「情報を手動で印刷」――という工程が行われているんです。

photo データサーバーと通信

 ハンディ型のプリンタにもいくつかタイプがあります。レストランや駐車禁止の取り締まりで使われているプリンタはレシートに代表される「感熱型」という熱に反応する紙にプリントするものが多いです。今回ご紹介している装着型プリンタはインクジェット型。素材に“非接触”で印刷するため、いろいろなものに印刷できます。

なんだかかっこいい……利用シーンを動画でどうぞ

 この動画の中では、荷物に付いているラベルをスキャンし、データベースにある追加情報を受け取って、箱に直接さらにプリントする様子を紹介しています。例えば、日本では配送する荷物には送り主が書いた伝票(送り状)以外に小さなラベルが貼ってありますね。いったん物流センター(支店)に集められた荷物は、また別のセンター(支店)に行き、それぞれの発送先に分配されます。大量の荷物をより効率よく届けるために、支店から支店へのラベリングが必要なのです。

photo バーコードを読み取り、追加情報を箱に直接プリント

 さまざまな大きさや形の荷物を全自動で仕分けるラインの構築は、すべて自動化しようと思うと、ソフトウェアから機械まで多額の開発費と時間がかかります。全てが同じサイズの封筒や箱で荷物を送るのであれば楽かもしれませんが、荷物の形状や重さ、サイズはさまざまです。

 一見すると、機械やロボットに任せられるのでは? と思いますが、人間の五感や適用性、柔軟性の高さは簡単にプログラムできるものでは当然ありません。臨機応変に対応できる人間と、正確にスピーディに情報を引き出す最新技術のコラボレーションによって、開発コストや期間をぎゅっと短縮して、スピードと正確さを両立する物流センターを構築できるのです。

身近な「バーコード」の秘密

 さて、続いてはみなさんにもなじみ深い「バーコード」の話に移りましょう。この機械で腕の動きに合わせて読み取っているのも、もちろんバーコードです。

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