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なぜ、外国によくある「超巨大看板」は日本で見かけないのかあなたの知らないプリンタの世界(1/3 ページ)

» 2016年08月15日 08時00分 公開

 大きな広告看板のことを「ビルボード」と呼びます。それをさらに大きくし、ビルの壁面を丸ごと覆うようなものを「ビルラッピング」とも呼ぶのをご存知でしょうか。今回は、ビルを丸ごとラッピングするほどの巨大広告の印刷と、海外で見つけたビルラッピングのちょっと違った使い方などを紹介したいと思います。

photo 海外でしばしば見かける巨大看板

おとなり中国は建物もでかければ広告もでかい

 やはり人口世界一(13億人)の中国は看板も大きいです。北京や上海、大連などの都市を歩いていても、印刷された看板のサイズには目を見張るものが多いです。横幅20メートル、高さ10メートルの看板が多く見られるほか、ビル一棟が丸ごと映像ビジョンになっている大迫力なものも存在します。

photo ビルが丸ごとLEDビジョン。近隣の人にはちょっと迷惑?(著者撮影)
動画が取得できませんでした

 のぼり旗のサイズも7メートルを超えるものもあり、日本では考えられない高さです。これは2階建ての家の屋根の高さに相当し、ただ地面に「置く」という感覚ではなさそうですね。

photo 巨大のぼり in 中国(著者撮影)
photo 60×20メートルの巨大デジタル印刷看板(出展:World Record Academy

 ただ、このような巨大印刷物は、最初から巨大な姿で生まれるわけではありません。巨大印刷物の印刷幅は5メートルが最大。つまり、幅5メートルで印刷したものをつなぎ合わせて、1枚の大きな広告幕を作っているのです。

 しかし、横幅が何十メートルにもおよぶ看板の印刷に用いるのに、なぜ印刷幅は最大5メートルなのでしょう。それは、印刷する素材の最大幅が5メートルのロール素材(巻物)だからです。しかも最近では、この巨大広告に使う印刷素材の主流は3.2メートルや1.3メートル程度に狭くなってきています。

photo 印刷幅5メートルの大型印刷機

 なぜ印刷素材の幅が狭くなってきているのか――それは、素材製造と、何より運搬が大変だからです。海外で見かける巨大広告は、コストや効率性を考慮しながら作られていることが分かりますね。

photo 中国で見かけた巨大広告(著者撮影)

日本であまり見かけないビルラッピング その理由は……?

 日本でも最近、「痛車」のようなカーラッピングや「トレインラッピング」と呼ばれる電車の車体広告を見かけることが多くなってきました。しかし、先ほど紹介したビルラッピングは日本ではあまり見られません。

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