米Tesla Motorsは9月11日(現地時間)、「Model S」の車載ソフトをバージョン8.0にアップデートすると発表した。このアップデートで、自動運転機能「Autopilot」を大幅に改善する。
同社の自動運転機能は、2015年10月にModel Sに追加された。車載カメラ、レーダー、超音波センサーなどで収集するデータに基いて環境をリアルタイムで解析しつつ自動運転する(米国道路交通安全局が定義する自動運転のレベル2に相当し、責任はドライバーが負う)。
これまではカメラからのデータが解析の中心だったが、今回のアップデートでレーダーからのデータが解析の中心になるという。
カメラでは濃霧や豪雪などの悪天候の中では障害物を“見る”ことができないが、レーダーであればそれが可能だ。従来レーダーを中心にしてこなかったのは、レーダーはその性質上、障害物の大きさを正確に検知するのが難しいためだったという。例えば路上前方にある小さな空き缶でさえ障害物と判断してブレーキをかけることになる。今回のアップデートで、ハードウェアはそのままに、従来の6倍の情報の収集を可能にすることで、この問題を解決したとしている。
また、Tesla車のデータをクラウド経由で収集・解析する「fleet learning」システムにより、例えば高速道路の標識など、衝突するはずもない高い位置にある物体をホワイトリスト化する。
こうした改善により、不要なブレーキングを減らす一方、透明なUFOでさえ検知してブレーキングするという。
同社のイーロン・マスクCEOは記者会見で、このアップデートで5月の自動運転中の死亡事故は防げただろうと語った。この事故についてTeslaは「晴天の光を反射する白いトレーラーの側面に自動運転機能もドライバーも気づかず、ブレーキが作動しなかった」と説明している。
マスク氏は「これは完全な安全性を意味するわけではないことを強調しておきたい。完全なる安全性は達成不可能な目標だ。安全の確率を上げることが現実的に可能なことだ」とも主張した(米TechCrunchより)。
5月の死亡事故については現在、米国道路交通安全局が調査中だ。9月にはオランダでもModel Sの自動運転中の死亡事故が発生しており、こちらも原因を調査中だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR