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データ掛け合わせて分析 新ビジネスの気付きを KDDIの法人向けIoTサービス

» 2017年05月17日 19時10分 公開
[村上万純ITmedia]

 「企業のIoT(Internet of Things)事業全体をドライブする、基盤となるサービスになるだろう」。KDDIは5月17日、同社の提携パートナーが保有するデータと法人顧客の自社データを組み合わせて分析する法人向けサービス「KDDI IoTクラウド 〜データマーケット〜」を6月中旬から提供すると発表した。

分析サービス 法人向けサービス「KDDI IoTクラウド 〜データマーケット〜」

 KDDIが提供するデータ群は、店舗情報、POSデータ、将来人口推計、訪日外国人観光客の動向解析、専用アプリで得たストレスや心拍数などの生体情報、車両に設置されたセンサーの走行記録、被災度判定計で取得した地震・被災判定データなど。

 データと分析サービスを合わせて提供し、法人顧客が事業課題や新たなビジネスチャンスに気付く機会創出につなげる。これまで同社が顧客から受けた「自社のデータは集まったが、どう使えばいいか分からない」「データの分析が難しい」といったニーズに応えるとしている。

IoT データの提供と分析をサポート

 製造業、運輸業、小売業、自治体など幅広い業種・団体での利用を想定。例えば「製造業がPOSデータを取得して工場の生産量や製造ラインを調整」「中国人向け店頭販促キャンペーンを行いたい薬局が、訪日外国人のデータを使って季節ごとに販促を最適化」「自治体が業務用車両の走行データや地図データを組み合わせて交通事故が起きそうな場所を把握」といったユースケースが考えられる。

 利用料金は、データや分析ツールの種類によって異なる。

分析ツール 地図上にデータを視覚化するセルフ分析ツール「mapDISCOVERY」。デモ画像では、売上の高い店舗ほど、ドットを大きく表示。本来のポテンシャルより売上が芳しくない店舗をあぶり出す
原田部長 KDDIのソリューション事業本部 ビジネスIoT推進本部の原田圭悟部長

 KDDIの原田圭悟さん(ソリューション事業本部 ビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT企画部 部長)は「このサービスは、IoT事業全体をドライブする基盤のような位置付け」と話す。「これまでのIoT利用は、コスト削減や業務効率化などを重視する例が多く、本格利用に至っていなかった。今回のサービスは、法人顧客がビジネス的にもうかるために事業変革を促すもの。競合他社もまだ本格参入していない領域だ」と自信を見せる。

 同社は、これまで「IoT水耕栽培キット」や「IoTのトイレ空室管理」などのIoT事業に取り組んできた。今後も同事業の人員を増やし、積極的に展開していくという。

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