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開発者は「家に3年ひきこもっていた」 仮想世界で人と集まる「cluster.」正式オープン 狙いは(1/3 ページ)

» 2017年05月31日 14時03分 公開
[本宮学ITmedia]

 大学院を中退し、家に3年間ひきこもった。理由は「なんとなく」。人と会いたくないわけではないし、好きな声優のライブにも行きたい。でも、移動時間がもったいないから、ただひたすら家の中にいた――そんな“元ひきこもり”の青年が開発した仮想空間サービス「cluster.」(クラスター)が5月31日、正式オープンした。

photo cluster.

 VR(仮想現実)でイベントスペースを立ち上げ、他ユーザーと触れ合ったり一緒にコンテンツを楽しんだりできるサービス。2016年2月にα版を公開すると、試したユーザーから反響が続々。Oculus Rift開発者として知られるパルマー・ラッキー氏も利用するなど、国内外から注目を集めた。

 正式版では、誰もが無料でイベントを立ち上げられるようシステムを改良。エイベックス・ベンチャーズなどと提携し、アーティストやアニメ、2.5次元アイドルを生かした大型イベントも企画していく。

 クラスターの加藤直人CEOは静かに意気込む――「人々のひきこもりを加速させます」。

外出せずに人と集まる「cluster.」 その仕組みは

 cluster.は、いわば「仮想空間上のレンタル会場」のようなサービスだ。会議室やセミナーホールなど、さまざまな部屋を模したVR空間を誰でも作れる。そこに他ユーザーを招待すれば、同じ空間で一緒にくつろいだり、しゃべったり、はたまたライブのような大規模イベントを開いたりできる。

phoro イベントのイメージ

 参加するには、Twitter/Facebookアカウントかメールアドレスでログイン。Oculus RiftやHTC ViveのようなVR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)のほか、PC単体で参加することもできる。

 参加者同士は、シンプルな体にSNSのアイコン画像を組み合わせたアバターで交流できる。会場内でできることは、移動したり、テキストでコメントをつぶやいたり、音声でしゃべったり、拍手をしたり――。セミナールームで「壇上」に上がれば、動画やプレゼン資料などのコンテンツを映し出すこともできる。

 「人が実際に集まるには、移動時間や場所代がかかっていた。バーチャル空間なら、それらの“コスト”がかからない」(加藤CEO)。1つの仮想空間には最大数百人まで同時参加でき、さまざまなイベントに活用できると見込んでいる。

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