cluster.が目指すのは「人が会ったり、集まったりするインフラになること」だ。そのために、大きく3つのアプローチを採る。
まずは、一般ユーザーがイベントを開くハードルを下げること。正式版では、誰でも気軽にトークイベントなどを立ち上げられるよう、分かりやすいチュートリアルを用意。Oculus RiftのようなVR HMDを持っていなくても、PCだけでイベントを開けるようになっている。
そしてもう1つは、大がかりなイベントではなく、単に「部屋に一緒にいる」という体験もできるようにしたこと。
正式版では新たに「リビングルーム」や「会議室」を摸した部屋を用意。ユーザーはそれを立ち上げて、他ユーザーと一緒に動画を眺めたり、会議したりできる。そこではユーザー同士が離れた場所にいながら、本当の部屋にいるように過ごせるようになっている。
そして最後に、ユーザーにとって「利用の目的」になる、魅力的なイベントを企画することだ。
仮想空間でアバターを用いてコミュニケーションするサービスはこれまでも、FacebookのVRサービス「Spaces」や、古くは「セカンドライフ」などがあった。だが加藤CEOはそれらに対し、「正直、甘い」と指摘する。
「(Spacesのようなサービスは)ユーザーに目的がないと使わない。遠距離恋愛をしている人であれば使うかもしれないが、多くの人にとってはわざわざ使う理由がないかもしれない。セカンドライフも、イベントはイベントとして存在していたが、ユーザーの日常と分断されてしまっていた。ただ“場”を用意しているだけでは、人々にはなかなか浸透しないのでは」(加藤CEO)
cluster.は正式オープンに当たり、エイベックスやディー・エヌ・エー(DeNA)、ユナイテッドなどから約2億円の資金調達を実施。エイベックスとは資本業務提携を結んだほか、作詞家の秋元康さんなどが出資するパルスとも提携した。ノウハウやタレントを抱える各社と連携し、多くのユーザーをひきつけるイベントを企画していく。
「イベントは“ハレの体験”として、人を集めるためのアクセルになる。それだけでなく、日常的な用途でも使ってもらうことで、コミュニティーを作っていければ」と加藤CEOは話す。
ユーザーを集めるのと同時に、収益化の方法も模索していく。正式オープン時にはまず、ユーザーがイベントチケットを販売できる仕組みを用意。その売上額の30%を、運営元のクラスターが手数料として受け取る仕組みだ。
「第1の目標は、たくさんのユーザーの“日常の選択肢”にcluster.が入っていくこと」――。加藤CEOはあらためて、前向きに言う。「ひきこもりを加速させます」。
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