ZMPは7月13日、宅配ロボット「CarriRo Delivery」(キャリロデリバリー)のプロトタイプを開発したと発表した。CarriRo Deliveryは、最大時速6キロで自動走行する車型ロボット。レーザーセンサーとカメラで周囲を360度認識しながら自走できる。また、遠隔監視・操作も可能。銀のさらを展開するライドオン・エクスプレスは、同ロボットを用いた「すしデリバリーサービス」の実証実験を、8月以降に開始する予定だ。
宅配ロボット「CarriRo Delivery」と、(左から)ライドオン・エクスプレス取締役副社長 兼 CFO・エースタート代表取締役 CEO渡邊一正さん、ZMP代表取締役社長 谷口恒さん、ライドオン・エクスプレス代表取締役社長 兼 CEO 江見朗さん。CarriRo Deliveryは、もともとコミュニケーションロボットなどを手掛けていたZMPが開発コンセプトは「歩道を走れる宅配ロボット」。CarriRo Deliveryが歩道を自走し、飲食物を届けたり、クリーニングの集配・配達をしたり、プレゼントを贈ったり……といった利用方法を想定している。
車体部分には宅配ボックスを搭載しており、100キロまで積載可能。稼働時間は8時間で、約8度までの斜面を登れるという。サイズは750(幅)×1330(奥行)×1090(高さ)ミリ。
実用化に向けては、「道路運送車両法」が課題になるという。「『歩道を走れる宅配ロボット』を実現するには、このロボットを『小型特殊自動車』ではなく『シニアカー』や『歩行者』と同じように認定してもらわなければならない」(ZMP谷口恒社長)
「現在日本には、歩道でのロボットの自走を想定した法制度が存在しない。もしも、このロボットが『小型特殊自動車』の扱いになってしまうと、期間限定のイベント的な利用にとどまるが、そうはしたくない。現在、シニアカーなどの扱いにできないかと政府にお願いしているところで、このロボットのカテゴリーはまだ決まっていないんです」(谷口社長)
また、「最大時速6キロ」は出るものの、安全面から歩行者の平均時速「3キロ」に設定するという試みも。人が注文してから待てる時間(約40分)を考慮すると、1〜2キロが配送エリアになるだろうと想定している。
現在はまだ公道を走れないため、私有地や千葉県の交通公園などでテストを行い、なるべく振動のないよう、傾けないように走る調整をしているという。私有地から私有地までをトラックで運ぶという取り組みも考えられているようだ。
これまで、人件費や鮮度管理などに課題が残っていたデリバリーサービス。ライドオン・エクスプレスの江見朗社長は「技術はできている。あとは法規制だけ。2020年、自分好みのおすしを宅配ロボットで食べて帰ってほしい」と心境を語った。
(太田智美)
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