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海賊版リーチサイト「はるか夢の址」運営者ら9人逮捕日本最大級

» 2017年10月31日 14時47分 公開
[ITmedia]

 不正アップロードされた漫画や雑誌をダウンロードできるリンクをまとめた「リーチサイト」を巡り、大阪府警など9府県警の合同捜査本部は10月31日、著作権法違反の疑いで、リーチサイト「はるか夢の址」を運営していた元大学院生(22)ら9人を逮捕した。

 コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)によると、同サイトは日本最大級のリーチサイト。捜査を受けて7月に閉鎖されたが、ACCSの調査では、6月までの1年間で同サイトを通じてダウンロードされたと推定されるデータをもとに算定した被害額は約731億円に上るという。管理する「紅籍会」のメンバーなど関与者は相当数に上るとみられ、捜査は継続されるという。

photo 運営者が逮捕されたリーチサイト「はるか夢の址」。多数の作品へのリンクが掲載されている=Internet Archiveより、画像は一部加工

 ACCSによると、9人は共謀して漫画作品を不正にアップロードした疑い(公衆送信権の侵害)で逮捕された。

 リーチサイトは作品データへのリンクを掲載し、アクセスを集めることで広告収入得ているものとみられ、サイト自体には不正アップロードされたデータを持たないため、摘発は難しいとされていた。

 ACCSは「侵害行為者が逮捕されたことは出版業界とコンテンツ業界において、著作物の適正流通の点でも大きな進展だ」とコメント。同様の複数のサイトも把握しており、悪質な著作権侵害については断固たる措置を講じるとしている。

 6社共同コメント 著者が心血を注いで作り上げた出版コンテンツを預かる出版社として、今回のように悪質サイトを通じて多数の作品が無断配信されていた事実は絶対に看過することができず、(株)KADOKAWA、(株)講談社、(株)集英社、(株)小学館、(株)スクウェア・エニックス、(株)白泉社の6社は、ACCSと連携・共同して対応を行って参りました。

 今般、本件容疑者らの逮捕に至ったことはひとまず安堵しておりますが、残念ながら本件類似の著作権侵害行為は依然多く行われているのが実情です。同種サイトへの対策をより効果的に実施するためにも、今後の捜査を通じて、違法ファイルが組織的にやり取りされる仕組み・収益構造といった全容が解明されることを強く期待します。

 そして、今後も侵害行為者らに対しては刑事告訴など断固たる姿勢で対応して参ります。

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