我が家にはClova WAVE、Google Home、Google Home Mini、そしてAlexa化したFire HD 10という4台のスマートスピーカーがあるのだが、前からやりたかったことがある。HomePodの明らかな先祖で故スティーブ・ジョブズのペットプロジェクトだったiPod Hi-Fiをスマートスピーカーにしてしまうのだ。
iPod Hi-FiはHomePodと同じ349ドル。iPhoneが生まれた2007年にひっそりとディスコンになった、「ジョブズの失敗作」と揶揄されることも多い製品だが音質はすばらしいもので、いまだに愛好家はいる。それなりに数が出ていたので中古市場でも手に入りやすい。どうしても欲しくなって、Amazon.co.jpで1万2800円で入手した。この個体はスピーカー枠がちょっとずれていると書かれていたけど、それほど気にはならない。
iPod nanoをつなげて試してみたが、音はジョブズが自分のために作らせただけあってバランスが取れてかなりの音量が出る。でもそれだとまだ「スマート」ではない。音声コントロールができないから、Apple Remoteという懐かしい赤外線コントローラで音量の上げ下げや曲のスキップ・一時停止などを行う。
iPod Hi-Fiはどでかいボディーのてっぺんに30ピンの「ドック」が付いている。ここにiPodや30ピンiPhoneを差していたわけだが、その代わりにBluetoothレシーバーをつけたらBluetoothスピーカーになるはず。
そこで、これにつながる30ピンBluetoothレシーバーを探したのだが、思いのほか難航した。1つ買って試したがダメ、もう1つ買ってもiPhoneから認識しない。
最終的に動いたのはAmazonで買った3台目。既にディスコンになっている「bluemix SBT05」という製品。Bluetooth 2.1という骨董品だがiPod Hi-FiにちゃんとBluetooth接続し、iPhone 7 Plusから認識できた。
つないでみる。Siriでこんな命令をしてみる。
「Hey Siri、ザ・ビートルズのThe Long and Winding Roadをかけて」
これでちゃんとかかる。
Clova WAVEはアーティスト名+曲名を認識しないのでこれができない。Google HomeとGoogle Home Miniで音楽を再生するのは音質的に不満がある。
オーディオ愛好家のスティーブ・ジョブズが自宅の高価なステレオセットを置き換えたというiPod Hi-Fiのサウンドは、ジョブズということを差っ引いてもしっくりくる。「ホームステレオを再発明した」と豪語するだけのことはある。
スピーカーにおいて「パワーと重さは正義」と四本淑三さんも言っている。この記事で取り上げられているFenderのBluetoothスピーカーとiPod Hi-Fiはほぼ同じ重さだ。iPod Hi-Fiのパワーは不明だが、家中に響きわたるサウンドを歪みなしで出すには十分。
試しにiPod Hi-Fiの音量を最大に設定して、1階のリビングでちょっとうるさいくらいにiPhone側で調整したら5%程度だった。そのくらいの余裕があるということだ。10%までボリュームを上げると2階でも聴こえる。「あなたには小指だけで相手をしてあげましょう」という感じだ。
Appleのエコシステムにどっぷり浸かっているとさらに便利さは増す。Apple Watchを見ればいまかかっている曲名がわかるし、デジタルクラウン(竜頭)で音量を微調整したり、画面タップで曲をスキップしたりもできる。音声命令も手首を口元に寄せれば小声で大丈夫だ。
だが、スマートスピーカーのキラーコンテンツとなっているラジオもAppleエコシステムに囲われてしまう。「ラジオを流して」とお願いしてもBeats1がストリーミングされてしまうのだ。「Hey Siri、ニッポン放送を流して」みたいにSiriをradikoに対応してくれないのだろうか?
スペースに余裕のあるiPod Hi-Fiの上にClova WAVEやGoogle Home Miniを置いて、「ラジオも流せますよ」状態にしてみた。
まあ、十分な音質・音量のBluetoothスピーカーであれば、iPod Hi-Fiでなくても実現できることではあるのだけど。
来年には日本でもHomePodが発売されるのを期待して、それまではこの「偽装HomePod」で待つことにしようと思ってる。
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