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SNSで稼ぐ新時代の“マイクロインフルエンサー” 成功の条件は“日本が知らない”海外のIT(1/2 ページ)

» 2018年01月26日 09時00分 公開
[行武温ITmedia]

 ソーシャルメディアを使っている人なら、先日YouTubeにアップロードされた動画が大きな波紋を呼んだローガン・ポール(Logan Paul)をはじめとする「インフルエンサー」と呼ばれる人物たちについて聞いたことがあるだろう。

 彼らはYouTubeやInstagramなどのサービスで、素人とは思えないほどのファンベースを築いている。中には企業から依頼を受けてコンテンツを制作・投稿したり、マーケティングキャンペーンに参加したりして生計を立てている人も。

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 「有名人」と「インフルエンサー」の境界線はかなり曖昧ではあるものの、投稿の内容を見て気付くのが「ファンとの距離の近さ」だ。

 ソーシャルメディアの特徴として、有名人と全く縁がない人でも自分の思いをコメントなどで伝えられるという点が挙げられる。

 テレビや雑誌で見かける有名人は事務所に所属しており、ファンとの交流については制約を受けていることが多い。一方でインフルエンサーは、ファンとの交流は自分でコントロールしており、名前が知られるようになった後もファンと活発なやりとりを続けている。

 その「インフルエンサー」だが、最近その裾野が広がりつつある。フォロワー数が100万人を超えるようなインフルエンサーだけでなく、1000〜10万人規模のファンを持つ「マイクロインフルエンサー」に企業から注目が集まっているのだ。

連載:“日本が知らない”海外のIT

日本にまだ上陸していない、IT関連サービス・製品を紹介する連載。国外を拠点に活動するライター陣が、日本にいるだけでは気付かない海外のIT事情をお届けする。


フォロワーが少ないのに、なぜ注目?

 インフルエンサーに比べるとファンが少ないはずのマイクロインフルエンサーに注目が集まる理由の1つは、その「宣伝効果」にある。

 インフルエンサーマーケティングプラットフォームを運営する「Influence.co」の調査によれば、100万人以上のフォロワーがいるインフルエンサーにInstagramで商品を宣伝してもらう場合、1投稿あたり平均1405ドル(16万円弱)かかるという。

 しかし、マイクロインフルエンサーの場合、1投稿あたり平均300ドル(3.3万円)とその4分の1以下。下の図を見てみると、フォロワー数10万人を境目にその金額に開きがあることが分かる。

マイクロ (Influence.coのWebサイトより)

 面白いのは、フォロワー数が増えれば増えるほど企業が支払う宣伝料金が上がるとしても、必ずしも宣伝効果も同様に高まるとは限らないことだ。

 先述の通り、インフルエンサーの特徴はファンとの距離の近さ。しかし、フォロワー数が増えれば増えるほど、ファン一人一人にかけられる時間は当然限られてしまう。これこそが、マイクロインフルエンサーの強みだ。

 彼らは旅行やファッション、美容、食、写真など、特定の分野に特化していることが多く、フォロワーと深いやりとりができる。そのため、信頼・熱量という点においては100万人以上のフォロワーを持つ「インフルエンサー」を上回ることもあるのだ。

 マイクロインフルエンサー側からすれば、自分が紹介した商品をフォロワーが買ってくれることで、ソーシャルメディアが自分の好きなことと仕事を結び付けるチャンスの場となっている。

 収入の大小に差はあるにしても、マイクロインフルエンサーになることが「働き方の選択肢」の1つになりつつあるのだ。

インフルエンサーとマイクロインフルエンサーを比較

 実際、マイクロインフルエンサーにはどれほどの宣伝効果があるのか。それを判断するための重要な指標が「エンゲージメント率」だ。

 エンゲージメント率は、ファンからの信頼・熱量を示す物差し。例えばInstagramでは、投稿した写真や動画に対して、フォロワーがどのくらい「いいね」やコメントをしてくれるか、その割合を指す。

 このエンゲージメント率について実際の投稿を見ながら考えてみたい。

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