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テレポーテーションを実現? 遠隔操作で“分身”のように動くロボットの仕組み(1/2 ページ)

» 2018年10月19日 19時54分 公開
[村田朱梨ITmedia]

 遠隔操作で人間の代わりに行動するロボットが「CEATEC JAPAN 2018」(千葉・幕張メッセ)のKDDIのブースに登場した。離れた場所にいる操作者の動きに合わせて、来場者にお辞儀をしたり手を振ったりしてみせる様子は、さながら“分身”のようでもある。

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 ブースでは、ロボットがカフェの店員という設定のデモンストレーションも披露。操作者が「いらっしゃいませ」と言うと、ロボットがその声を再生する。客がロボットにかけた「水をください」という言葉は操作者にも届く。ロボットが客に手渡したペットボトルの冷たさや重さは、操作者にも感じられるという。

photo 来場者と握手する遠隔操作ロボット
photo 操作者の動きを反映している

 いったいこのロボットにはどんな技術が使われているのか。開発を担当したTelexistence(東京都港区)に聞いた。TelexistenceはKDDIが「KDDI Open Innovation Fund」を通じて出資したベンチャー企業。同社の佐野元紀氏は「クラウド越しにロボットが人間に五感を提示することで、テレポーテーションを実現している」と話す。実際に人が移動するわけではないが、ロボットを利用し、あたかも遠隔地に存在するかのように行動できるテレイグジスタンス(遠隔存在)を実現した。

 遠隔操作ロボットは、VR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)やトラッカーで検知した操作者の動きをクラウド経由で送信し、ロボットにも反映させる仕組み。ロボット側が得た情報も、同様にクラウド経由で操作者に届ける。

 VR HMDはHTCの「VIVE Pro」を使用。操作者の頭の向きや声はヘッドセットで、上半身の動きは胸に付けたトラッカーで検知する。トラッカーは左右の手の甲にも取り付け、胸のトラッカーとの距離をもとにロボットの腕を動かす。

 さらに、操作者の指の動きを手にはめたグローブで検知。グローブの親指と人差し指には、ロボットから送られてきた振動や温度を感じるための触覚デバイスも取り付けてある。

photo 操作者の装備
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