ビル・ゲイツ氏、スポーツ庁に資金提供 「世界と日本の関わりを考えたい」
スポーツ庁は11月9日、米Microsoft共同創業者のビル・ゲイツ氏が共同議長を務める慈善団体「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」とパートナーシップを結んだと発表した。2020年東京五輪・パラリンピックの開催に向け、国連が定める社会問題解決目標「SDGs」(エス・ディー・ジーズ)への取り組みを周知、強化する狙い。ゲイツ財団はスポーツ庁に資金と専門知識を提供する。
来日したゲイツ氏は「(SDGsを社会に呼びかけるために)私たちは工夫する必要がある。日本は社会に大きく貢献できるだろう」と話した。
「SDGs」(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、2015年9月の国連サミットで採択された、2016年から2030年までの共通目標。貧困、健康、教育、ジェンダー、エネルギー、雇用、都市開発、生産、自然、資源、平和など17の目標を設定し、先進国か後進国かを問わず、各国が解決に取り組むことを促している。
日本は19年に「Our Global Goals」プロジェクトを発足。国内外のアスリートに対し、SDGs達成に向けたアンバサダーとして活動することを呼びかける他、NGO団体と連携して「貧困や飢餓の撲滅」「健康と福祉の向上」「質の高い教育」「ジェンダーの平等」「安全な水とトイレ」の分野で現地訪問やワークショップ、学習機会の提供を行う。
東京五輪の大会運営にも、SDGsを踏まえて取り組む。使わなくなった携帯電話や家電などから回収した金属で五輪メダルを作るプロジェクト「都市鉱山からつくる! みんなのメダルプロジェクト」も、その一環だという(関連記事)。
ゲイツ氏は「多くの人が達成できないと考えていた目標に対して、実現の可能性があることを日本が世界に示している」と、世界エイズ・結核・マラリア対策基金に対する日本の支援などを評価。日本はこれまで同基金に累計28億3902万ドル(約3230億円)を提供している。
「日本は世界の医療に貢献し続けている。さらに拡大するためにはパートナーシップを強化する必要がある。東京五輪で世界からも注目が集まっており、より良い世界に向けたアンバサダーになれることをうれしく思っている。この取り組みによって、世界と日本の関わり方を考えていきたい」(ゲイツ氏)
会見に同席した東京オリンピック・パラリンピック競技大会 組織委員会の森喜朗会長は、「ゲイツ氏がプロジェクトを主導してくれることに敬意を表したい。東京五輪はSDGsに取り組む初めての五輪大会になる。大会の開催以降も継続して活動を続け、東京五輪のレガシー(遺産)となるよう期待している」と話す。
文部科学省の浮島智子副大臣も「スポーツを通じて多くの人にSDGsを知っていただき、一人一人に“自分ごと化”してほしい。アスリートは人に見られないところで努力にいそしんでいるはず。世の中がIT化することで実物に触れない時代になる中、その実体験を子どもたちに話してほしい」とした。
アスリート代表として、元女子マラソン日本代表の有森裕子さんも会見に出席。「スポーツで得た経験には可能性があると、いろいろな人から教えられてきた。私もカンボジアの対人地雷で手足を失った子どもたちが多くいることを知っている。手足を動かすアスリートは、そんな人々の苦労を感じやすいのではないか。スポーツで人々や国を元気にできるはずだ」と積極的に取り組む姿勢を見せた。
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