ハロウィーン当日、渋谷の街で繰り広げられた喧騒は、皆様もご存じかと思います。かつてのハロウィーンはテーマパークや町おこしにおける限定的なイベントでしたが、数年前から若者たちが仮装して街を練り歩くようになり、今年はなぜか渋谷で軽トラックをひっくり返す祭になりました。このペースで行けば、30年後ぐらいには「ニッポンの七不思議」「世界の奇祭」扱いになりそうです。
この手の話題がニュースで取り上げられると、「若者が騒いでるだけ」「参加しているのは田舎から渋谷に出てきた人ばかり」など、「流行に流されやすい」「世間で騒がれるとすぐ飛びつく」的な意見が出てきます。
そんな流行に踊らされる国民性を象徴するかのごとく、皆さんがかつて注目した“ある存在”が、終焉を迎えつつあるようです。
店頭やイベント会場、ショッピングモール、会社の受付などを賑わせた“ある存在”ですが、最近はすっかり見かけなくなりました。土壌汚染が原因で都知事がストップをかけて、反対派と推進派の抗争の末、何事もなかったかのように豊洲に移転したのでしょうか? いいえ、原因は移転ではなく「解約」でした。
それは、レンタル契約者の約8割が契約更改の意思を示していないと報道されている、ソフトバンクロボティクスのヒト型ロボット「Pepper」(ペッパー)です(参考:AERA dot.)。
自称“AI(人工知能)ベンチャーで働きながら、情報発信するマスクマン”こと、マスクド・アナライズさんが、AIをめぐる現状について、たっぷりの愛情とちょっぴり刺激的な毒を織り交ぜてお伝えします。Twitter:@maskedanl
(編集:ITmedia村上)
この辺りで賢明な読者諸氏は「今回はロボットの話なの? AI関係ねーし、2話でネタ切れとか草生える」とお考えでしょう。しかし、ロボットとAIは切っても切れない、運命の赤い糸です。
鉄腕アトムに始まるロボットアニメにおける文脈として、AIとロボットは人間の相棒や隣人として表現されており、「ドラえもん」や「キテレツ大百科」などの藤子・F・不二雄作品はもちろん、勇者シリーズにおける超AI、バディムービーを彷彿とさせる「フルメタル・パニック!」のアル、兵器という役割ではなく「パイロット支援啓発インタフェースシステム」として描かれた「翠星のガルガンティア」のチェインバーなどがあり、戦闘機(厳密には「バルキリー」と呼称される可変戦闘機)パイロットとアイドルにおける、AIと人間の置き換えがテーマとなった「マクロスプラス」では、制作体制においても作画が手書きからCGに転換した分水嶺として(以下編集部により削除)。
と言いつつ、本日公開の前編ではPepperの話が中心で、AIの話は明日公開の後編となりますのでご了承下さい。
本題に戻ると、実際にPepperを目にする機会は減っており、販売元のソフトバンクショップでさえ「実家に帰らせていただきます」と立て看板が置かれていました。実家と言っても、どこの工場でしょうか? ソフトバンク本社がある汐留かもしれません。
ともあれ、「実家に帰らせていただきます」とは、ベタな昼ドラでも聞けないレアなセリフです。夜遅く帰ってきた夫に「冷めたコロッケで我慢してください」と、皿に乗せた「たわしコロッケ」を出す真珠夫人な展開は不可避です。
しかし、Pepperは本当に消えてしまったのでしょうか?
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