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NYに広がる“格安ライドシェア” 相乗りアプリ「Via」が見つけた市場の隙間“日本が知らない”海外のIT(2/2 ページ)

» 2018年12月05日 08時00分 公開
[橋本沙織ITmedia]
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ライドシェアが「社交場」としてもブームに

 同じ方向に向かうなら、同じエリア、施設、会社で働く者同士である可能性も高いだろう。実は、Viaがここまで人気となった要因の1つに、ネットワーキングが大好きなニューヨーカーとの相性が良かったという点が挙げられる。

 過去には「Get into a car with strangers.」というViaの広告がニューヨーク市内をジャックしたこともあった。本来の売りであるコストメリットだけでなく、知らない人と出会えるという側面もニューヨーカーたちに喜ばれているのだろうか。

 実際、同社のスポークスウーマンであるガブリエル・マッケイグ(Gabrielle McCaig)さんは、「乗車後にシェアメイトの電話番号を教えてほしいとViaに連絡してくる人が一定数いる」という裏話を米メディアのThe New York Timesで語っている。

 その場合、Viaは同社の規約に沿って、双方の合意が取れた場合にのみ連絡先を教えることになっている。中にはライドシェアをきっかけに、真剣に交際を始めたカップルもいるいうから驚きだ。

via 同社Facebookページより

 ラモットCEOは「利用者の口コミで、今のようにコミュニティーが形づくられ拡大した」と話している。利用規約の中にはユーザーの声から生まれた項目も多いという。運営者とユーザーの距離が近いことも人気の理由だろう。

 2013年にニューヨーク市でサービスを開始して以降、Viaの利用者数は全世界で30万人を超え、ニューヨーク市内に在籍する同社の契約ドライバーは500人を超える。現在、米国ではニューヨーク市の他にテキサス、シカゴ、ワシントンDC、英国のロンドン、オランダのアムステルダムでサービスを展開しており、今後も利用可能エリアを拡大していくようだ。

 Viaのように高密度な都市に特化したニッチサービスは、全世界に横展開することが可能で、今後十分に成長の余地があるだろう。大手のUberとLyftもそうした後発の追随を許さず、航空会社のようなロイヤリティープログラムの開始をアナウンスすることで顧客の囲い込みを図ろうとしている。ライドシェア市場はこれからますます加熱しそうだ。

取材・執筆:橋本沙織

編集:岡徳之(Livit


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