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NYに広がる“格安ライドシェア” 相乗りアプリ「Via」が見つけた市場の隙間“日本が知らない”海外のIT(1/2 ページ)

» 2018年12月05日 08時00分 公開
[橋本沙織ITmedia]

 海外の主要都市で、配車アプリ市場が盛り上がっている。米Uberを筆頭に、米LyftやシンガポールのGrab、Didi Chuxing(滴滴出行、ディディチューシン)など、大手数社がシェアを奪い合う寡占状態が続く。

 一方でそうした大手の牙城を崩すべく、ユニークなサービスを展開する後発の配車アプリも登場。シンガポールのRYDE、インドで三輪タクシーの配車を行うJugnooなどは、複数人のユーザーを相乗りさせる「ライドシェア」に特化している。

 中でも特に注目されているのが、イスラエル発で急成長中のVia Transportationが提供する配車アプリ「Via」だ。同社の評価額は既に10億ドルを突破し、ユニコーン企業と化している。大手もUberPoolやLyft Lineなどライドシェアサービスを打ち出す中、Viaが快進撃を続ける理由を探る。

via Via(公式サイトより)

タクシーや公共交通機関より、Viaが安くて早い理由

 Viaでは、UberやLyftなど一般的な配車アプリと同様、スマートフォンアプリを介して配車をする。しかし、Viaは独自のアルゴリズムによって同じ方面に向かうユーザーをマッチングし、ライドシェアさせることで、5〜8人を同時に運ぶという違いがある。

 同社の共同創始者ダニエル・ラモット(Daniel Ramot)CEOは、メディアの取材に対し「ViaはUberとバスの中間の存在」と語っている。確かに、オンデマンドで交通手段を手配できるのはUberのようで、街を循環し、乗客が絶えず乗り降りするさまはバスのようだ。

 そんなViaの最大のメリットは、料金体系とその金額。例えば、ニューヨーク市内のサービス対象区域ではどこまで乗っても一律5ドル(約570円)の「定額制」。市内の公共地下鉄やバスが2.75ドル(約313円)であることを踏まえると、路線の乗り換えをする場合、Viaの方が安くなる。実際、ニューヨーク市内にオフィスを構える企業が社員に交通費を支給する場合、Viaのような配車アプリを使うよう社員に推奨するケースが増えているという。

 配車をリクエストしてから車がピックアップしに来るまでの時間は平均5分。ダイヤの乱れが激しいニューヨーク市内の公共交通機関を利用するよりも、時間の見通しがきくViaの方がビジネスパーソンとの相性はよさそうだ。

via Viaアプリ(ViaのFacebookページより)

 Viaのドライバーは、一般的な配車アプリと異なり、ユーザーを指定されたポイントでピックアップ・ドロップオフする。その位置も交差点の角近くに限定することで乗車・降車をよりスムーズにしている。

 ユーザーの乗降によって余計な時間が発生し「目的地への到着が遅れるのでは?」と懸念する人もいるだろう。しかし、同社のアルゴリズムが提案するルートが基本的に迂回ゼロであることも寄与し、意外とシームレスでストレスは感じられないという。

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