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ポケモンGOと災害で「モバイルバッテリー」需要増 そのときメーカーはAnkerのキーパーソンに聞く(後編)(1/2 ページ)

» 2018年12月10日 08時00分 公開
[山口恵祐ITmedia]

 モバイルバッテリーやスマートデバイスの周辺機器、家電、オーディオ製品などをグローバルで展開するハードウェアメーカーの中国Anker。本記事の前編では、スティーブン・ヤンCEOへのインタビューで、同社がユーザーから信頼を得るための取り組みを追った。

 今回は、人気スマホゲーム「Pokemon Go」(以下、ポケモンGO)や災害によるモバイルバッテリーの需要増など、日本独特の市場動向について日本法人アンカー・ジャパン(以下、アンカー)の井戸義経代表取締役と猿渡歩執行役員(事業戦略本部 統括)に聞いた。

photo アンカー・ジャパンの井戸義経代表取締役(右)と猿渡歩執行役員 事業戦略本部 統括(左)

被災地にバッテリー無償提供、「売名では」との批判も頭をよぎったが……

 この10年で、スマートフォンは多くの人にとって欠かせないものとなった。街の風景はそれ以前と比べて様変わりし、もはや先進国、発展途上国を問わず生活必需品であるといえる。多くの機能を備えているからこそ、バッテリーが切れたときの不便さは言うまでもないだろう。

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 そんな背景から、外出先でUSB機器などを充電できる「モバイルバッテリー」の認知度も高まった。BCNの市場調査によれば、ポケモンGOが日本でも社会現象を巻き起こした2016年の夏、スマホのバッテリー切れ対策商品の需要が特に大きく伸びたという(参考記事)。

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 アンカーも当時からモバイルバッテリーの需要増を実感していたという。井戸代表取締役は「これまでモバイルバッテリーを使ったことがない人からもブランドが認知され、売り上げの底上げにつながった」と振り返る。

 “ポケモンGO特需”の後、再び波がきたのは18年9月のことだ。台風21号の影響や、北海道胆振東部地震(最大震度7)が要因だと専門家は分析している。この時期、アンカーもモバイルバッテリーの1日の売り上げが通常時の5〜6倍まで急増したという。

 「災害は社会的に大変不幸で、もちろん発生しないことが1番好ましい」と井戸代表取締役は前置きしつつ、次のように感じていたという。

photo アンカー・ジャパンの井戸義経代表取締役

 「災害が起こってしまう以上は備えが必要。そんな意識が喚起されたことは大きな意味があった。お客さまのモバイルバッテリーに対する考え方の変化を感じている。以前は『自分はスマートフォンのヘビーユーザーだから』と買う人が多かったが、今は『(災害などで)困った状態になりたくないから買う』という人が増えた。不測の事態に備えて、『数千円の投資は無駄ではない』というマインドに変わってきているのでは」

 16年5月に発生した熊本地震では、モバイルバッテリーを取り扱う各社からの寄付が相次いだ。アンカーも発売前だった大容量ポータブル電源「PowerHouse」を被災地に向けて100台無償提供(参考記事)している。当時、中国の本社の確認を待たずに日本独自で提供を決めたという。

photo 大容量ポータブル電源「PowerHouse」

 「災害時に最も役立つ製品を発売することが少し前から分かっていたので、災害直後に売り物にするよりも(無償で)提供しようと決めていた。あのタイミングで提供しなかったら、われわれの会社はいつ社会に役に立てるのかと思う。正直に言うと『売名ではないか』と言われるリスクが頭をよぎったが、実際に困っている人の役に立つほうが大事で、最後は気にしなかった」(井戸代表取締役)

 アンカーは11月29日、災害時の物資供給に関する協定を福岡市と締結した。モバイルバッテリーやソーラーチャージャー、ケーブルなどをセットにした特別災害対策セットや、大容量ポータブル電源を提供。こうした取り組みで、非常時に対する備えをすることの啓蒙はさらに進みそうだ。

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