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» 2019年01月21日 07時00分 公開

架空世界で「認証」を知る:ガンダム、パトレイバー、コードギアス――リアルロボットの“認証技術”を考察する (1/2)

小説、漫画、アニメ、映画などの架空世界に登場する「認証的なモノ」を取り上げて解説する連載をITmediaで出張掲載。第8回のテーマはサンライズ作品のリアルロボットの認証について。

[朽木海,ITmedia]

この記事は認証セキュリティ情報サイト「せぐなべ」に掲載された「架空世界 認証セキュリティセミナー 第8回『ガンダム・パトレイバー・コードギアス――リアルロボットにおける認証』」(2017年10月26日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。当時未発売だった製品やサービスの記述などは、本記事掲載時の状況に合わせて編集しています。

ロボットアニメの雄、サンライズ

 ……それでは講義を始める。

 前回は、「鉄人28号」シリーズにおける認証について考察した。どの世代の鉄人28号も操縦器に認証はかかっていないか、かかっていても簡単なものしかなく、「いいも悪いもリモコン次第」となってしまうという、認証セキュリティ的には残念な結果だったが、ストーリー的にはそこが見どころといったところだろう。

 また、自律式AIロボット「ブラックオックス」についても考察した。鉄人28号との対比も科学的なテーマとなっていた点が面白い。詳しくは前回の記事を参照してほしい。

 では、他のロボット、特にリアルロボット系のアニメではどうなのだろうか。

 今回はアニメ制作会社「サンライズ」のロボットアニメを3つ取り上げ、登場する認証について考察していこうと思う。

原作ものが獲得できず玩具タイアップへ

 まずは基本データから。1972年、経営難に陥った旧虫プロダクションから独立する形で「有限会社サンライズスタジオ」として起業。その後、1976年に東北新社傘下から離脱し「株式会社日本サンライズ」となった。

 翌1977年、初の自社企画アニメ「無敵超人ザンボット3」を、富野喜幸(現富野由悠季)を総監督として製作。その後は1987年に「株式会社サンライズ」と改称。1994年には玩具で縁の深かったバンダイ傘下へ。現在もバンダイナムコホールディングス傘下としてアニメ製作を続けている。

 サンライズの歴史で一番のポイントは、創業当初、漫画原作の翻案権を取得する費用が捻出できず、玩具メーカーとのタイアップによるオリジナルのロボットアニメ製作に舵を切ったところだろう。これが「サンライズといえばロボットアニメ」と言われる元となったのである。

 さて、サンライズのロボットアニメといえば誰でも一番に思い浮かぶ作品から、認証について考察していこう。その作品とはもちろん「機動戦士ガンダム」だ。

リアルロボットの祖とも言えるガンダム

 1979年に最初の放送が始まった「機動戦士ガンダム」。あらすじをご存じの方も多いとは思うが、一応説明しておこう。

 スペースコロニーへの移民が進んだ未来。スペースコロニー・サイド3は「ジオン公国」と名乗り、地球連邦政府に宣戦布告する。圧倒的な地球連邦軍の戦力に対し、ジオン側は電波障害を引き起こしレーダーや誘導兵器を無効化するミノフスキー粒子と、ミノフスキー粒子散布下で極めて効果的な人型機動兵器「モビルスーツ」を実戦投入。これにより戦争は膠着状態に陥る。地球連邦政府は戦局打開の切り札として「V作戦」を発動。スペースコロニー・サイド7にて新たなモビルスーツを建造していた。

 ジオン軍のシャア・アズナブル少佐が地球連邦軍の新造艦「ホワイトベース」を追ってサイド7へ潜入したところ、このモビルスーツ建造基地を発見。偶発的に戦闘状態となってしまう。その混乱の中、サイド7在住の民間人、アムロ・レイが新型モビルスーツを見つけ、操作したところ起動してしまい……。

 今回、いつになくあらすじが長いのだが、ここがポイントでもある。ガンダム以前にこんなに複雑な設定が存在するロボットアニメはほぼ存在しなかった。これがリアルロボットの祖とも言えるガンダムの画期的なところなのである。

 さて、本題だ。モビルスーツ・RX-78「ガンダム」には認証があったのだろうか。

 これは第1話のアムロの初搭乗シーンで容易に判明する。開発者テム・レイの息子ではあるが、本人は全くの民間人であるアムロが、偶発的に見つけたガンダムに搭乗して、置いてあったマニュアルを見ながら少しいじると起動してしまう……。そう、最初のガンダムには認証は全く存在していないのだ。

 これは正式配備前で、認証が未設定だったという可能性も考えられるが、物語が進むと、ガンダムをアムロ以外の者が乗って逃げてしまうエピソードも存在する。認証があったとしても、簡単に破られるものしか存在しなかったのか、逃亡者(セイラ)がなんらかの手段でアムロから認証情報を手に入れた(盗んだ)のだろう。

 一応、地球連邦軍の切り札と銘打って開発されていたモビルスーツなのだが、それで良かったのだろうか……?

 または、認証情報の運用管理体制に問題があったのか、物語には描かれてはいないが逃亡者がなんらかのソーシャルハッキング(※1)を用いたのか……。

※1:人間の行動や心理の隙につけ込んで、個人情報や認証情報などの秘密情報を入手すること

ロボット
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