こんにちは。白木智幸です。今回はノートPCやタブレットの生命線ともいえる、バッテリー駆動時間の秘密に切り込んでみたいと思います。
皆さんは「スペック表に記載されたバッテリー駆動時間が、実際の駆動時間と違う!」という経験をされたことはありませんか。スペック表といえば、数字に間違いは許されないはずなのに、なぜこのような事が起きるのでしょうか。
いきなり回答します。バッテリー駆動時間を測定している環境と、お使いの環境が異なるからです。……といっても、すぐに納得される方のほうが少ないでしょう。では、自動車の燃費に例えてみましょう。こちらもまた、カタログに載っていた燃費と実際の燃費が違ったという経験をお持ちの方は多いはずです。
自動車の燃費測定にはあらかじめ定められた基準があります。発進や停止を繰り返して、なるべく実際の利用状況に近づけて測定しようというものです。
ところが、実際の交通事情は地域や時間帯によってもまちまちで、試験と全く同じ走り方になることはありません。このため、実際の燃費との差が生じてしまうのです。実はバッテリーの駆動時間の計測も、燃費と同じように決められた基準で測定されています。
スペック表で見たことがある方もいらっしゃると思いますが、日本では「JEITAバッテリ動作時間測定法(Ver.2.0)」という計測方法が広く採用されています。これはディスプレイの明るさを150カンデラ/平方メートルに設定し、無線LANに接続。その上でフルHDの動画ファイルを再生し続けた状態、デスクトップ画面を表示した状態それぞれでバッテリーが100%から0%になるまでの時間を計測して、平均値を求めます。
明るさ150カンデラ/平方メートルというと、通常使用で少し暗く感じる程度の明るさです。最新のiPhoneが最大625カンデラ/平方メートルというスペックになっていますので、ざっと4分の1くらいの明るさというイメージです。
筆者はこのVer.2.0の策定の際に、外資系PCメーカーの担当としてリリース前の確認会議に参加していました。当時使われていたJEITA測定法Ver.1.0(2001年策定)の測定値が、実態と大きく異なる駆動時間を示していたことから、その実態に合わせた最適化が新基準策定のポイントでした。
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